フランス流 第4の選択肢 DS 9 E-テンス 250へ試乗 競合のPHEVサルーンへ接近

公開 : 2022.03.31 08:25  更新 : 2022.04.23 12:06

DSのフラッグシップ・サルーンに、パワフルになったPHEV版が登場。第4の選択肢を、英国編集部が評価しました。

25psが上乗せされたPHEVの250

DS 9へは、2022年2月に詳細テストを実施している。その時のクルマは、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)のE-テンス 225だった。

内容を振り返ると、プレミアム・サルーンとして選択肢が増えることを歓迎している。反面、PHEVの動力性能とEVモードでの走行可能距離が、少々もの足りないとも残されている。

DS 9 E-テンス 250 パフォーマンス・ライン+(欧州仕様)
DS 9 E-テンス 250 パフォーマンス・ライン+(欧州仕様)

今回運転したのは、E-テンス 225と同じ1.6L 4気筒ガソリン・ターボエンジンに25psが上乗せされた、E-テンス 250。従来より駆動用バッテリーの容量が13.6kWhへ増え、EVモードでの走行距離も最大で約6km伸びている。前回の指摘が改善されたといっていい。

E-テンス 225と比較して、E-テンス 250が飛躍的に能力を高めたわけではない。それでも、喜ばしい改良といえるだろう。

英国価格は1000ポンド(約16万円)ほど上昇しているが、会社からの貸与車両として乗られることが多い英国の場合は、税金の区分が下げられるため増額分は相殺できる。つまり、魅力的なアップグレードが施されたDS 9が、E-テンス 250となる。

ちなみに、このE-テンス 250は4月から英国市場で販売がスタートするが、従来のE-テンス 225は2022年の秋に廃盤となる予定。これからDS 9を選ぶなら、250の方が賢明なことも明らかだ。

極めて安楽に長距離移動できる質感

試乗したE-テンス 250 パフォーマンス・ライン+の英国価格は、4万7100ポンド(約730万円)から。英国では、メルセデス・ベンツE 300eとほぼ同じで、BMW 530eより若干安い。

9はライバルより車内空間が広いとはいえず、動力性能で勝るわけでもない。プレミアム・ブランドとして、DSの知名度やプライオリティも、まだドイツ勢に並べていないことも事実。同等の価格で比べてしまうと、少々分が悪い。

DS 9 E-テンス 250 パフォーマンス・ライン+(欧州仕様)
DS 9 E-テンス 250 パフォーマンス・ライン+(欧州仕様)

一方で、周囲とは違うプレミアム・サルーンを探しているなら、DS 9は悪くない選択肢でもある。E-テンス 250の登場で、その実力は高められている。

ただし、そもそもDS 9は鋭く運転するタイプのクルマではない。25ps増えたといっても、0-100km/h加速は8.1秒で、驚くほど速いわけではない。

前後タイヤのグリップ力は高く、アダプティブ・サスペンションがボディロールを適度に抑え込んでくれる。だが、コーナリングを楽しむタイプでもない。

ゆったりとした反応のステアリングは、タイトという言葉とは無縁。そのかわり、アダプティブ・クルーズコントロールと車線維持支援システムの働きは良好で、極めて安楽に長距離移動をこなせる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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