EV(電気自動車)がHV(ハイブリッド車)の世界販売を抜いた! でもあまり見ない……各国の現状は

公開 : 2022.04.13 18:45

その後、欧州車EVモデル急増

要するに、欧州自動車メーカー各社は欧州委員会(EC)とあるていど連携しながら、または英国の場合はECの動きを精査しつつ、EVシフトに向けた下準備を着々と進めていったといえる。

ECの動きの背景にあるのが、世界的なESG投資の発展だ。ESG投資とは?

メルセデス・ベンツ・ビジョンEQXX。2022年1月に公開したEVコンセプト。採用された技術や、18か月という超短期間で開発されたプロセスが、市販車に反映される。
メルセデス・ベンツ・ビジョンEQXX。2022年1月に公開したEVコンセプト。採用された技術や、18か月という超短期間で開発されたプロセスが、市販車に反映される。    メルセデス・ベンツ

ESG投資とは、従来の財務情報のみならず、環境/ソーシャル/ガバナンスを考慮した投資のことだ。

2020年代に入ってから、企業の決算報告などの場でESG投資に配慮した発言や資料開示が一気に増えている。

こうしたなか、欧州メーカー各社がEVに対する仕込みをしていったといえるだろう。

しかし、2021年7月にECが発表した、「2035年で欧州域内で新車100%ZEV化(EVまたは燃料電池車)」という方針について、全ての欧州メーカーが歓迎した訳でもなさそうだ。

とはいえ、EVへの仕込みが早かったフォルクスワーゲン・グループや、2021年の早い段階で完全EVブランド化を宣言していた英国ジャガー(2025年までに)やスウェーデンのボルボ(2030年までに)にとっては、ECによる事実上の規制の発表は事業推進の追い風となった。

さらに、メルセデス・ベンツもECの発表を受けるようなタイミングで、「市場環境が整えば、2020年代末までにグローバルで新車100%をZEV化」との決断を下している。

また、フィアットも欧州内で2027年までに完全EV化となる。

肝心な日本メーカーの動きはどうだろう?

アメリカと中国の動きの中で日本は?

欧州でのEVシフトにより、欧州メーカーは2021年頃から欧州で続々と新型EVを市場投入している。

この動きを慎重に見極めながら、自国のEVシフト施策を講じているのが、世界最大自動車市場の中国と、二番目に大きな市場のアメリカだ。

EVで復活したハマー。アメリカではgmやフォードがフルサイズピックアップトラックでEV量産化が相次ぐ。
EVで復活したハマー。アメリカではgmやフォードがフルサイズピックアップトラックでEV量産化が相次ぐ。    GMC

欧州が100%EVまたは燃料電池車と言い切っているのに対して、中国とアメリカは当面、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車も電動車枠として受け入れる姿勢を示している情勢だ。

その上で、市場全体の規模として大きな中国とアメリカでは、欧州のEVモデル増えていることに加えて、テスラが中国とアメリカで製造拠点の拡充したことなどから、米中でのモデル3の販売数が大きく伸びている。

また、アメリカではgmやフォードがフルサイズピックアップトラックでEV量産化を決定し、中国では地場メーカーでも小型EVの販売好調など、グローバルで大手メーカーからベンチャーまでEVモデル数が一気に増えて、それぞれが量産体制に入っている状況だ。

一方、日本メーカーでは、トヨタが2030年に350万台、ホンダが200万台をぞれぞれグローバルでEV化すると宣言している。

日本でも2020年代から中盤にかけて、EVモデルが一気に増えることが見込まれる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?

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