超洗練のディーゼルターボ アウディA8 L 50 TDIクワトロ・スポーツ マイナーチェンジ

公開 : 2022.04.27 08:25  更新 : 2022.05.24 15:42

アウディのフラッグシップ、A8がマイナーチェンジ。突出した洗練度を備えるロング版を、英国編集部が評価しました。

フラッグシップらしく洗練され快適

アウディのフラッグシップ・サルーン、A8。インゴルシュタットのモデルらしく、2017年に発売された4代目も、不足ない完成度を今も湛えている。

A8が属する市場は本来大きいものではなく、近年は縮小傾向にある。その主役は、メルセデス・ベンツSクラスが長年担ってきた。それでも、自慢の技術をいち早くユーザーへ届ける、自動車メーカーにとって重要なセグメントでもある。

アウディA8 L 50 TDIクワトロ・スポーツ(英国仕様)
アウディA8 L 50 TDIクワトロ・スポーツ(英国仕様)

フラッグシップ・サルーンで試される技術には、モデルの威信や売れ行き以上の意味を持つ。ブランド全体の評判にも、影響を及ぼすといえる。

マイナーチェンジを受けたA8には、目新しい最新テクノロジーは搭載されなかった。ダッシュボードの巨大なモニターを売りにするSクラスが、市場に投入されたタイミングではあるが。

次期BMW 7シリーズの発売も近い。更に、純EVのメルセデス・ベンツEQSとBMW i7も、A8との戦いに加わる。

A8には、新しいフロントグリルとヘッドライトが与えられた。トリムグレードが見直され、3.0L V6ディーゼルターボもラインナップする。

華々しいテクノロジーの一覧はないかもしれない。それでも、A8はアウディのフラッグシップとして洗練され、非常に快適。今回試乗したA8 L 50 TDIクワトロは特に、フロントシートで運転するのも、リアシートでくつろぐのも良い。

上質なディーゼルターボとインテリア

その優れた印象を生み出している立役者が、ディーゼルターボ・エンジン。これまでにアウディが生み出したなかで、最も静かなユニットとして数えられる。ラグジュアリーなA8にもピッタリ。たくましく、おとなしい。

質感は、超がつくほど磨かれている。現実世界では不満を感じないほど、パワーもトルクもある。さらに、滑らかな8速ATとのマッチングも良い。安楽なまま、満ち足りた移動に浸れる。

アウディA8 L 50 TDIクワトロ・スポーツ(英国仕様)
アウディA8 L 50 TDIクワトロ・スポーツ(英国仕様)

燃費も苦労なく14.0km/Lは出せる。ディーゼルターボならではだ。

それ以外も素晴らしい。滑らかな高速道路を走らせれば、有能なエンジンと組み合わさり、トップクラスの快適性を味わわせてくれる。快適なドライバーズシートを体験すれば、ほかのモデルへ乗り換えたいとは思わないかもしれない。

ただし、管理の良くない英国の一般道では、衝撃吸収に陰りが出る。サスペンションが受け止めきれず、キャビンに振動やノイズが届くこともある。

これは、マイナーチェンジ前からA8の数少ない弱点だった。アダプティプ・エアサスペンションと、バリアブル・ダンパーが標準装備となった今でも、完全には改善していない。とても惜しい。

アウディA8は、ドライバーの脈拍を下げてくれるサルーンだ。操縦性は、落ち着きのある精度の高さへフォーカスされている。ステアリングホイールの感触も同様。心地よく穏やかに走り回れる。ゆったりと、設えの良いインテリアを楽しみながら。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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