素質の高さが顕に トヨタGRヤリス・イベリアンカップへ試乗 ワンメイクラリー・マシン

公開 : 2022.05.12 08:25

GRヤリスがベースのラリー・マシンへ英国編集部が試乗。ロードカーの高い能力を、いかんなく発揮していると評価します。

ワンメイク・ラリーの専用マシン

こんなGRヤリスを待っていた。ラリー仕様のサスペンションとダートタイヤを履き、余計な内装などは剥ぎ取られている。駆動系に必要な調整が与えられているものの、基本的にパワーアップしておらず、極めて扱いやすい。夢のGRヤリスだ。

トヨタ・ガズーレーシング・イベリヤン・カップと呼ばれるイベントは、スペイン・トヨタと、マドリードを拠点にするモーター&スポーツ・インスティテュート(MSi)社、ポルトガルのトヨタ代理店、カエターノ社との共同で運営されている。

トヨタ・ガズーレーシング GRヤリス・イベリアンカップ(欧州仕様)
トヨタ・ガズーレーシング GRヤリス・イベリアンカップ(欧州仕様)

ワンメイク・ラリー・チャンピオンシップで、欧州大陸の西端、イベリア半島に設定されたグラベルコースを中心に9ステージで構成される。専用マシンの費用は、税などを抜いて6万5800ユーロ(約894万円)とのこと。

2022年だけでなく、2023年と2024年にも既に開催が決まっている。今回は、そのカップ・マシンのステアリングホイールを握らせていただいた。

車両開発を主に担当したのが、MSi社。公道用のトヨタGRヤリスをベースに、かなりの手が加えられている。内装パネルはほぼなく、ハードシェルのバケットシートとロールケージが組み込まれ、消火器を追加。公表できない部分もあるという。

GRヤリスでサーキットパッケージを選択すると、トルセンLSDが前後に搭載される。だがこのカップ・マシンには、クスコ社が開発した機械式LSDが組まれている。クラッチも強化品だそうだ。

シャシーは入念に改良 エンジンはオリジナル

サスペンションの基本構成は、オリジナルのまま。だが、スペインのテクノショック社製コイルオーバーキットを装備し、ドロップリンクで車高が持ち上げられている。フロントストラットには、補強用のブレースが追加された。

ブレーキは基本的にノーマル。ラリー仕様のダート用15インチ・ホイールの内側へ、ぎりぎりに納まっている。ターマック用ホイールは、もっと大径だという。タイヤはミシュランだ。

トヨタ・ガズーレーシング GRヤリス・イベリアンカップ(欧州仕様)
トヨタ・ガズーレーシング GRヤリス・イベリアンカップ(欧州仕様)

オイルサンプのガードが追加され、車内換気用のエアインテークがルーフに開けられている。ヘッドライトは明るさを増し、触媒を残したままエグゾーストも専用のものが組んである。サウンドが素晴らしい。

トヨタの1.6L 3気筒ターボエンジン自体には、手は加えられていない。だが、そもそも充分にパワフルといえる。

小さなドアミラー・カバーは、カーボンファイバー製。フロントフェンダーはアルミニウム製で、多少ぶつけても叩いて元の形に戻せる。肉厚で赤いマッドフラップが、トミ・マキネンの勇姿を彷彿とさせる。

今回筆者が試乗させてもらったのは、MSi社の開発ドライバーで、ラリー・スペインでの優勝経験を持つペペ・ロペス氏のマシン。短いダートサーキットで、その能力を確かめてみた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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