一般道を楽しむのにピッタリ 今も驚愕のアウディ Urクワトロ ラリードライバー親子と湖水地方へ(2)

公開 : 2026.02.06 18:10

速く扱いやすいことへ感動のDBX S 一般道にピッタリな操縦性のUrクワトロ ひたすら楽しいGRヤリス ラリードライバー親子とともに、湖水地方の理想的なドライブルートをUK編集部が探る

「ターボが効き始めるまで待たされました」

グレートブリテン島北西部、湖水地方を南西へ進み、ホニスター峠へ。雨は弱まらないが、連続するカーブを抜けると、息を呑むような景色が目前に広がった。勾配のきついアスファルトを、雨水が流れていく。ゴツゴツとした岩が、谷あいに露出している。

以前はスレート鉱山で、今はスカイ・ハイ・カフェの入口だと、看板が示す。「観光シーズンなら、この道は走りませんね」。マシュー・ウィルソン氏が、コーヒーを口にしながら話す。ワインディングは走り応え充分。時期を選べば、足を伸ばす価値はある。

アウディ Urクワトロ 20v(1989年式/英国仕様)
アウディ Urクワトロ 20v(1989年式/英国仕様)

父のマルコム・ウィルソン氏へ、アウディ Urクワトロの鍵を貸すようマシューが頼む。「1980年代、アウディ・スポーツのドライバーをしていた頃は、クワトロを2台持っていたんですよ。20バルブ・エンジンじゃなくて、ターボラグは大きかったですけどね」

「パワーのオン/オフが明確で、ターボが効き始めるまで待たされました。これは、ずっと良いですよ」。当時をマルコムが振り返りつつ、マシューへ鍵が渡される。

明らかにペースが1段速まるDBX S

マルコムはアストン マーティン DBX Sへ向かい、筆者はトヨタGRヤリスへ。南東へ山道を下ると、幅員が広くなり、カーブも緩くなっていく。川沿いに進み始めると、景色は再び素晴らしい。スカーフェル山の山頂が遠くに見える。

ケジックとドットウッドの美しい街並みを通過すると、パセンスウェイト湖が見えてくる。そこから北東へ逸れると、荒野のような大地が現れた。観光客と思しき人影は消え、低い山脈を背に、道が遠くまで伸びている。

アストン マーティン DBX S(英国仕様)
アストン マーティン DBX S(英国仕様)

ここは、マルコムがテスト走行に使ってきた区間に違いない。DBX Sのペースが、明らかに1段速まる。歩くように進むトラクターや、不意に飛び出してくるSUVが、いないことを理解しているのだろう。

路面は面白いようにうねり、起伏も良い感じで続く。運転の醍醐味を堪能できる。後で聞いたが、混みがちな国道を避けて高速道路のM6号へ出られる、抜け道でもあるとか。

一般道にピッタリな動力性能や操縦性

しばらく思い思いにクルマを走らせ、路肩の駐車場へ。マルコムは、DBX Sへ小さくない感動を覚えたようだ。こんなに大きくて重いクルマが、極めて速く扱いやすいことへ、言葉を詰まらせていた。GRヤリスも、運転がひたすら楽しいと笑う。

一方で、ドライバーへ次々に知らされる情報や、電子音には疑問を抱く。「ここまで知らせる必要は、あるんでしょうかね?」

ホワイトのアウディ Urクワトロ 20vと、ブラックのトヨタGRヤリス、シルバーのアストン マーティン DBX S
ホワイトのアウディ Urクワトロ 20vと、ブラックのトヨタGRヤリス、シルバーのアストン マーティン DBX S

とはいえ、最も熱心に感想を口にしていたのは、Urクワトロ。既に40年近く前のクルマでありながら、動力性能や操縦性が、一般道を楽しむのにピッタリなことへ驚いていた。高速域で、グリップ力やステアリングの感触、乗り心地が望ましくなることも。

Mスポーツ社のワークショップは、すぐ先にある。午後も2人は忙しいらしい。シーズンオフの湖水地方の道は、素晴らしい。このドライブは、丁度良い息抜きになったはず。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ラリードライバー親子と湖水地方への前後関係

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