中国BYD、日本製パーツで効率化 EVの新型バス「J6」「K8」発表

公開 : 2022.05.12 21:48  更新 : 2022.05.12 21:49

1年でモデルチェンジ 大型バス「K8」

街中で目にする路線バスのほとんどが全長10.5mの大型バスだ。このクラスではいすゞ日野がハイブリッド・モデルを販売しているが、BEVのバスは販売されていない。

路線バスの王道といえる全長10.5mのクラスに向けて用意されたBEVのバスがK8である。J6と同様に日本仕様車として製作され、2021年より納車を開始している。

新・旧「K8」を比較
新・旧「K8」を比較    上野和秀

K8もブレードバッテリーの実用化によりフルモデルチェンジが行われ、必要とあればデビューから1年目でもどんどん変えてゆく攻めの姿勢が見えてくる。

現行型で287kWhだったバッテリー容量は、新型では314kWhと9.4%増大。満充電時の航続距離は250kmから270km(エアコン非使用/乗車率65%)へと延長。

急速充電はCHAdeMO規格のみで、充電時間はバッテリーが大容量のため約6.5時間が必要という。

ブレードバッテリーの採用により、現行型では客室後端にあったバッテリーが床下に収まり、床面のフルフラット化を実現。乗客の移動が楽になり車内の事故防止・混雑緩和に貢献する。

スタイリングは日本製のバスには見られないグラスエリアの大きなスマートなデザインが特徴で、日本の街並みにも自然に溶け込む。

日本製パーツ 採用の理由

新型「J6」と「K8」は5月10日よりより予約受付を開始し、2023年末を目途に納車を開始する計画。生産は中国で行われ、完成車が輸入される。

気になる価格だが、昨今の原油高騰により材料・輸送など様々な分野での値上がりと、円高傾向が顕著なことから今回は発表されなかった。

これまでに64台のBYD製BEVバスが日本に納入されている。
これまでに64台のBYD製BEVバスが日本に納入されている。    上野和秀

ちなみに現行型のJ6は2145万円、K8は4235万円(いずれも税込み/基本仕様)で、既存のディーゼル・エンジンのバスに比べ現実的な価格だった。新型は、多少高くなるものと思われる。

今回のモデルチェンジに伴い、バッテリーの保証期間がこれまでの「5年または40万km」から「8年または40万km」に変更されたことからも同社の自信がうかがえる。

細かな点では日本製パーツを数多く採用していることに注目したい。

整備による休車時間を減らし事業者の効率化が進むうえ、迅速に部品供給ができるのがその理由だ。

ビーワイディージャパンは、2030年までに小型・中型・大型で累計4000台の電気バスを日本で販売することを目指しており、カーボン・ニュートラル社会の実現に貢献したいという。

また災害時などの非常時には空調のある避難所として使え、バッテリーの電力を送電線や家庭に供する基地になるのもBEVバスの美点である。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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