中国BYD、日本製パーツで効率化 EVの新型バス「J6」「K8」発表

公開 : 2022.05.12 21:48  更新 : 2022.05.12 21:49

中国の新型EVバスが登場。日本におけるEVバスのシェアは7割という「BYD」。日本製パーツを多く使う判断をしました。どんなバスなのでしょう?

BEVバスを積極投入 BYDの今

環境と人にやさしいカーボン・ニュートラル社会を目指して、現在の自動車界は電動化へ邁進する状況になっている。

しかし日本で販売されているBEVは乗用車がほとんどで、働く自動車たちに目を移すと現状ではハイブリッド化がやっと。

ビーワイディージャパン株式会社 取締役副社長 花田晋作氏が車両の説明を行った。
ビーワイディージャパン株式会社 取締役副社長 花田晋作氏が車両の説明を行った。    上野和秀

日本のメーカーによるBEVバスは試作車のみで、カタログモデルとして発売されていないという状況にある。

なおBEVトラックはようやく市販化が近づいてきたレベルだ。

こうした日本でBEVのバスを積極的に投入するメーカーがある。グローバルで累計約7万台ものBEVバスを納入してきた中国の深センに本拠を構えるBYD社だ。

BYD社はバッテリー・メーカーとして創業し、ITエレクトロニクス事業や自動車、新エネルギー事業、モノレール事業などを手がける、中国のグローバル企業である。

同社は2015年に中国自動車メーカーとして初めて日本にBEVバスを納入して以来、小型・中型・大型のバスを64台販売。国内BEVバスの70%を占めるトップメーカーとなっている。2022年度末には100台を予測する。

そのBYDの日本法人ビーワイディージャパンから、日本仕様として開発された全長7mのコミュニティ・バス「J6」と、全長10.5mの大型路線バスの「K8」がフルモデルチェンジされ発表された。

新型バッテリーの小型バス「J6」

全長7mという扱いやすいサイズからコミュニティ・バスや狭隘路線で活躍するBEV小型バスが「J6」だ。日本ではディーゼル・エンジンを積む日野ポンチョがこのポジションで愛用されている。

J6はBYD初の日本仕様車として2020年から納車してきたが、新型J6は日本人デザイナーがエクステリア・デザインを担当し、シンプルで現代的なスタイリングを備える。

新・旧「J6」を比較
新・旧「J6」を比較    上野和秀

今回のモデルチェンジのハイライトは、新開発のブレードバッテリーの採用だ。容量を増しながらコンパクトになり、すべてが床下に収められ客室スペースの拡大を実現した。

ブレードバッテリーは刀のような細長く薄いセルを備え、バッテリーパックの空間利用率を従来比で約50%向上。あわせて高い安全性とエネルギー密度を両立させている。

現行型では105.6kWhだったバッテリー容量は、新型では125.7kWhと約20%増大。満充電時の航続距離は200kmから220km(エアコン非使用/乗車率65%)へと伸ばしている。

また、CHAdeMO規格の急速充電に対応しており、充電時間は約2.5時間とされる。

コンパクトなブレードバッテリーを採用したことにより、現行型では客室後端に置かれていたバッテリーが床下に移動。これにより座席が増設され定員は5名増えた36人となり、後部ウインドウが設けられ室内も明るい。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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