BMW Z8にクーペがあったなら スミット・ヴィークル・エンジニアリング・オレサへ試乗 前編

公開 : 2022.06.12 08:25

エンジンはM3用のS65 V8ユニット

そこで兄弟は、2007年から2013年にかけて作られたE92型BMW M3が搭載する、自然吸気のV型8気筒エンジンに目を向けた。S65ユニットの内部を改良し、排気量は4.0Lから4.4Lまで拡大されている。

新しいECUがエンジンを制御し、最高出力は454psを獲得。レッドラインは8500rpmに設定された。当時のM3 GTSに並ぶ能力といっていい。トランスミッションは6速マニュアル。機械式のリミテッドスリップ・デフを介し、後輪を駆動する。

スミット・ヴィークル・エンジニアリング・オレサ(北米仕様)
スミット・ヴィークル・エンジニアリング・オレサ(北米仕様)

この大きなV8エンジンは、Z4のエンジンルームにギリギリ納まっている。そのためエグゾースト・マニフォールドは設計し直され、ステアリング系を避けるように、複雑にカーブを描く。

パワーステアリングは、近年のM5が搭載する小型のポンプで稼働している。可能な限りBMWの部品を利用する、というのも彼らのコダワリだ。

このプロトタイプの車重は、燃料を満タンにした状態で1450kg。利用する部品を改めることで、今後さらに軽量する予定だという。

賢明な2人は、インテリアにも幾つかの課題があると考えている。そもそもBMWはプレミアムモデルを量産するブランドであり、インテリアの仕立ても最初から素晴らしいからだ。少量生産のメーカーとは比べ物にならない。

オレサの車内は、各部の素材が改められ、新しいシートが載っている。だが、Z4との繋がりを隠せてはいない。タッチモニターがダッシュボードを占拠する前のモデルだから、少なくとも筆者は気にならなかったが、ターゲット層は特別を求めるはず。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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