トランスアクスルの見事な操縦性 ポルシェ944 価値は堅調に上昇中 英国版中古車ガイド

公開 : 2022.07.27 08:25

希少性の高まりとともに価値も上昇中

944は希少性が増しているため、近年は価値を確実に高めている。中古車では最も手頃なポルシェ・モデルの1つではあるものの、走行距離の短いターボSの場合は、3万ポンド(約501万円)以上という値段が付いている例も。

気軽に手を伸ばせる金額ではないかもしれない。しかし、FRのポルシェという内容を考えれば、まだ現実的な金額といえるだろう。

ポルシェ944(1982〜1991年/英国仕様)
ポルシェ944(1982〜1991年/英国仕様)

新車時代のAUTOCARの評価は

ポルシェ944の優れた燃費効率や操縦性、グリップ力には感心せざるを得ない。仕上がりは素晴らしい。

確かにいくつかの弱点もある。だが、クルマとしてのバランスを考えると、些細なことにしか思えないだろう。(1982年5月29日)

購入時に気をつけたいポイント

エンジン

エンジンオイルの交換は、英国では1986年式より以前の944とターボエンジンの場合で9万6000km以内、それ以外では1万9000km以内が推奨されていた。過去の管理状態を確かめたい。

同様に、タイミングベルトとバランサーシャフト・ベルトの交換は、3年毎か6万4000km毎。ウオーターポンプは12万8000km毎の交換が指定されていた。2.7Lエンジンの944 Sの場合は、エグゾーストカムのチェーンテンショナーもチェックポイント。

ポルシェ944(1982〜1991年/英国仕様)
ポルシェ944(1982〜1991年/英国仕様)

アイドリング時にエンジンが振動する場合は、エンジンマウントやクラッチのスラストベアリングの劣化が原因かもしれない。スラストベアリングなら、クラッチを切り離すと振動が止まるはず。

エンジンオイルにクーラントが混入している場合は、ヘッドガスケットやオイルクーラーの不具合が疑われる。フィラーキャップなどに、乳化したオイルが付着していないか確かめる。

エンジン始動時に排気ガスへ白煙が混ざるのは、バルブステム・シールの摩耗だろう。走行中でも白煙が止まらない場合は、シリンダーライナーの摩耗が考えられる。

トランスミッション

トランスアクスルから異音がしないか、試乗で確かめたい。クラッチは一般的な乗り方で11万km位は使える。マスターシリンダーからのフルード漏れがないかも調べる。

ステアリングとサスペンション

走行中にフロントからコツコツと音が出る場合は、サスペンション・ブッシュの摩耗を疑う。操縦性が曖昧なら、ウィッシュボーン・ボールジョイントやダンパーの劣化だろう。ステアリング・ラックの摩耗が原因かもしれない。

パワーステアリングが装備されている場合は、ポンプからのフルード漏れがないか確認したい。アルミホイールの状態も調べたい。

ボディ

サイドシルやフェンダーアーチ、サスペンション・マウント、フロントのジャッキポイントなどが錆びていないか、じっくり観察する。初期の944の場合は、燃料タンクも要注意。荷室フロアなどに、不自然な修復の形跡がないかもチェックする。

インテリア

すべての電装系が正常に動くか確認する。ダッシュボードなどの内装パネルや、天井の内張りの状態も忘れずに。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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