レクサスNX300h Fスポーツ

公開 : 2014.07.22 23:40  更新 : 2017.05.29 19:24

■どんなクルマ?

NX300hの ’h’ が示すとおり、このクルマはガソリンと電気のハイブリッド・モデルだ。ちなみに今年の11月に英国に導入されるため、NXのモデル群の中でもっとも早く購入できるグレードでもある。

用いられるエンジンはIS300hとGS300hと同スペックであり、全体のうち90%の売上が見込まれている。

オットー・サイクル(容積形内燃機関)を基本にして、膨張比を圧縮比より大きくすることによって効率化させたアトキンソン・サイクルを採用した2.5ℓ4気筒エンジンは、電気モーターと共同作業を行いながら、フロント・タイヤを動かす。

追加されたもう一つの電気モーターがリア・アクスルにパワーを与えることにより、SEグレードから、ラグジュアリー、Fスポーツ、プレミアムまでの全てのラインが実質上の四輪駆動となる。

最下位グレードの ’S’ のみが前輪駆動の設定だ。

■どんな感じ?

額面上でのNX300hは、これ以上になく魅力的だ。豊富な装備と呼応して、NX200tと同様に外から見ても、中を見ても満足できるし、もっとも重要なセールス・ポイントでもある19.6km/ℓとCO2排出量の117g/kmと言う数値は、このサイズのクルマとしては非常に優秀だ。

しかしながら、ほかのレクサスの兄弟車と同様に運転していてちっとも楽しくないのだ。ドライバーによるガス・ペダルの些細な操作は、徹底的に無視され続けるのである。

動力性能も不足しており、レクサス製のドライブ・モード・セレクト・システムをスポーツやスポーツ+モードにスイッチしても、スロットル・レスポンスは精彩に欠ける。

さらにNX200tの乗り心地も良くはなかったが、NX300hのそれははっきり言って悪い。おそらくは車重増加によるものだろう。

ただし、望みが完全に絶たれたわけではない。Fスポーツ用の硬いダンパーを組み合わせない、標準のNX300hをわずかに試乗した時にそう感じたのだ。というのも、いくぶん和らげられたダンパーは我慢できるレベルになっていたからである。

悲しいことにスペックを下げることにより、満足度が高まる、稀有なクルマなのだ。

■「買い」か?

ランニング・コストの観点で見るとNX300hの方がNX200tよりも確かに魅力的だけれども、ドライビングに関してはあなたにおすすめすることは困難を極める。

NXのなかでも良いクルマは他にあるかも知れないが、今回のパワートレイン・オプションや、硬すぎるシャシー・セットアップは近代稀に見る大失態だと言えるだろう。

もちろんわれわれは、レクサスのハイブリッドに対する向き合い方や、スポーティネスに対するアプローチを尊敬している。しかし、4気筒のディーゼル・エンジンや、快適なシャシーをオプション選択させてくれやしないかと、心から望んでいる。

(マーク・ティショー)

レクサスNX300h Fスポーツ

価格 £36,995(641万円)
最高速度 180km/h
0-100km/h加速 9.2秒
燃費 19.6km/ℓ
CO2排出量 117g/km
乾燥重量 1785kg
エンジン 直列4気筒2494cc + 2モーター
最高出力 197ps
最大トルク 21.0kg-m
ギアボックス CVT

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