日本でも2023年に販売開始 BYD アット3へ試乗 バッテリー60.5kWh 航続420km

公開 : 2022.09.17 11:55

日本でも2023年から販売が始まる中国のBYD。欧州市場へ本格参入する先鋒、アット3へ英国編集部が試乗しました。

BYDのBEV大型バスは日本へも導入済み

通常、新モデルへ試乗するには、開発がスタートしたという情報を聞いてから数年は待つことになる。カモフラージュされたプロトタイプの写真がリークし、それを忘れた頃に正式発表のイベントが開かれる。

ステアリングホイールを実際に握れるのは、早くてもさらに半年ほど先。英国の一般道で仕上がりを確かめられるのは、そこから数か月後というのが一般的だ。

BYD アット3(欧州仕様)
BYD アット3(欧州仕様)

だが、中国からやってきたBYD アット3(アットスリー)は違った。筆者がステアリングホイールを直接握ることができたのは、初めて実車を見てから14時間後。英国へ正式に導入されるという情報を得てから、13時間後という早さだった。

恐らく、彼らのスピード感なら既に完成車両が輸送船へ積まれているはず。英国へ向けて出港済みかもしれない。

BYDというメーカーは、まだ聞き慣れないかもしれないが、中国の野心溢れる自動車メーカー。バッテリーEV(BEV)用のバッテリー製造で、ご存知の読者もいらっしゃるだろう。

彼らは、英国の工場でBEVのバスも製造している。実は2022年前半には、世界最大のBEV製造メーカーへ躍進した。日本市場へも参入済みで、大型バスは都市部でたまに見かける。2023年には、本格的に乗用車の販売もスタートするそうだ。

ドアを開くと達成した水準の高さに驚く

欧州市場へは、3種類のBEVを導入する予定にある。上級志向の「ハン」と呼ばれるサルーンと、四輪駆動で517psのフルサイズSUV「タン」、そして今回試乗したエントリーモデルとなる、主力モデルのアット3だ。

中国の新興メーカーだと、高を括らない方がいい。クルマを理解している人ほど、歴史の浅いブランドが達成した水準の高さに、ドアを開いた瞬間から驚くはず。

BYD アット3(欧州仕様)
BYD アット3(欧州仕様)

デザインは視覚的に楽しいだけでなく、長時間いても居心地が良い。ダッシュボード中央の12.8インチ・モニターは、縦へも横へも好きなように角度を変えられる。ナビの案内時は横向き、スポティファイを楽しむ時は縦向きの方が、確かに使いやすい。

ドアパネルには、グリップ部分と一体のノブが備わる。ドアポケット部分へ目線を降ろすと、数本のワイヤーがギターの弦のように低音用スピーカー側から張られている。子供にいたずらされそうだが。

この意欲的なアット3は、BYDが開発したeプラットフォーム3.0という基礎構造をベースとしている。量産車としては初採用で、背負うものはいつも以上に大きい。

ただし、実際に運転できたとはいえ、今回は閑散とした空港周辺の道路を4.5kmほど走らせたに過ぎない。メーカー側のスタッフが監視し、スピードも制限された状態で。

実際の動的能力を体感するには至らなかったが、少なくとも非常に自然で滑らかなことは確認できた。これは、ポジティブな印象だといって良いだろう。

記事に関わった人々

  • フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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