理想的なBEVファミリー・ワゴン MGモーター MG5 EVロングレンジへ試乗 知覚品質向上

公開 : 2022.11.20 08:25  更新 : 2024.07.23 11:03

VWゴルフ・ヴァリアントサイズのEV、MG5 EV。航続距離や製造品質、価格など、人気を裏付ける内容を英国編集部は評価します。

英国で一番売れているBEVの1つ

実に的を射たバッテリーEV(BEV)のファミリーカーだ。実用性に長け、価格価値に優れ、センスも悪くない。

実際、英国市場もこのクルマの訴求力を理解しているのだろう。MG5 EVは2019年の発売以来、英国で最も売れているBEVの1台に加わり続けてきた。目立つ存在とはいえないものの、2021年だけで2万1946台を販売している。

MGモーター MG5 EV トロフィー・ロングレンジ(欧州仕様)
MGモーター MG5 EV トロフィー・ロングレンジ(欧州仕様)

そんな人気者のMG5が、モデル中期にあたるフェイスリフトを受けた。MG4に通じる細目のヘッドライトを獲得し、フロントマスクの印象は見違えている。容姿は強みとはいえなかったものの、僅かに改善されたと思う。

ダッシュボード上のインフォテインメント・システムもアップデートされている。従来は安いアフターマーケット品を後付けしたような雰囲気だったが、アップル・カープレイとアンドロイド・オートに対応する、質感の良いものへ改められた。

充電時間を確認できる機能も追加された。従来は備わっていなかったが、これは明らかな不備といえた。

タッチモニターは操作しやすく、実際に押せるハードボタンがショートカットキーとして並ぶ。ただし、反応が遅れる場面もゼロではない。

エアコンの操作系が、タッチモニター内に集約されているのは惜しいポイント。車内の温度や風量を変える度に、ナビゲーションの画面を切り替える必要がある。

大幅に知覚品質が向上したインテリア

車内のレイアウト自体は変わっておらず、空間には余裕がある。リアシートには、平均的な英国の大人が快適にくつろげる広さがある。座高が高いと、やや頭上に圧迫感があるかもしれない。

荷室容量は479Lで、使いやすそうな四角い形状。リアシートの背もたれは60:40で倒せるが、荷室のフロアとフラットにはつながらない。コスト削減が図られた、仕上げの良くない内装部品がちらほら見つかる。

MGモーター MG5 EV トロフィー・ロングレンジ(欧州仕様)
MGモーター MG5 EV トロフィー・ロングレンジ(欧州仕様)

とはいえ、ダッシュボードや内装パネルなど、インテリアの質感は明らかに良くなったと思う。フロアカーペットや金属風の樹脂部品も悪くなく、車内の知覚品質は大幅に向上している。

英国価格は、実容量57kWhの駆動用バッテリーを搭載したロングレンジ・モデルで、3万995ポンド(約514万円)から。価格を踏まえれば、BEVとしては安普請には感じられないだろう。さらにお手頃なエントリーグレードも投入予定らしい。

標準装備は、キーレスエントリーにアダプティブ・クルコン、LEDヘッドライトなどがすべてのMG5 EVへ与えられる。上位トリムグレードのトロフィーの場合、17インチ・アルミホイールにヒーター内蔵レザーシート、オートワイパーなどが追加される。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ヴィッキー・パロット

    Vicky Parrott

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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