次世代への転換点 スーパーソコTCマックスへ試乗 現在のベスト電動バイク

公開 : 2023.02.06 08:25

手頃な価格で電動バイクを提供する、中国のスーパーソコ。欧州で好評価を得る新モデルへ、英国編集部が試乗しました。

同クラスの内燃エンジンモデルより安価

AUTOCARの姉妹メディアで、ベスト電動バイク・アワードを受賞したのがスーパーソコのTCマックスだ。現在購入できるモデルとして、最高の1台だといっていい。

英国の場合、電動バイクには500ポンド(約8万円)の補助金が出る。これを差し引いて、TCマックスの英国価格はアルミホイール仕様で4399ポンド(約70万円)から。スポークホイール仕様では4499ポンド(約72万円)となる。

スーパーソコTCマックス(欧州仕様)
スーパーソコTCマックス(欧州仕様)

同クラスの内燃エンジンモデル、ホンダCB125Rの英国価格は4599ポンド(約74万円)から。ガソリン代やメンテナンス費を考慮しなくても、相当に訴求力のある価格設定だと思う。

電動バイクに乗るほど、大きなスポーツバイクより小型モデルやスクーターの方が、電動技術との親和性が高いと筆者は感じるようになってきた。実際、コンパクトなTCマックスも仕上がりは優れている。

ハーレー・ダビッドソンもライブワイヤーと呼ばれる電動モデルを提供しているが、大型ということで重く、航続距離は限定的で、価格もお高め。気軽に選べるバイクとは考えにくい。

トライアンフもスポーツモデルのTE-1を開発していたが、市販の目処は立っていない。車重220kgのネイキッドバイクで160kmの航続距離を実現し、現実的な価格で提供することは簡単ではないのだろう。

車重は100kg 航続距離は市街地で96km

TCマックスは、先述の通りサイズ感でいえば125ccクラスに属し、初心者ライダーでも扱いやすい。ガソリン代はかからず、エンジンオイルやプラグの交換は不要で、ランニングコストを抑えられる。

駆動用モーターとリアタイヤの間はベルトで駆動され、チェーンのメンテナンスもいらない。駆動用バッテリーは、従来のバイクではガソリンタンクの位置に載り、容量は2.7kWh。英国の電気料金では、1km当たり1円程度で乗れる。

スーパーソコTCマックス(欧州仕様)
スーパーソコTCマックス(欧州仕様)

駆動用バッテリーはバイクから取り外すこともでき、オフィスや自宅での充電も可能。一般的なコンセントがあれば問題ない。ただし、バッテリーの重量は22kgもあるため、女性は運ぶのが大変だろう。充電に要する時間は3時間から4時間だ。

航続距離は、市街地で96kmがうたわれている。活発に走り回ると、もちろん短くなる。

TCマックスにまたがり最初に気付くのは、電動バイクとしては軽いこと。内燃エンジンのホンダCB125Rが約130kgあるのに対し、こちらは100kgしかない。クルマでは、電動の方が重いことが一般的なのだが。

とても扱いやすく、都市部の交通へ簡単に交われ、スロットルを調整しながら路地をキビキビと駆け回れる。ロータリー交差点でも不安感は抱かずに済む。

フロントのディスクブレーキは、通常は制動力の立ち上がりが穏やか。リアのブレーキも同時に効かせると、フロント側の3番目のキャリパーもディスクを掴み、素早くスピードを落とせる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    Move Electric UK

    Move Electric UK

    英国の純EV専門メディア
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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