小変更でマイルドHVに メルセデス・ベンツAクラス A 180へ試乗 ヘイ・メルセデスも向上

公開 : 2023.04.04 08:25

洗練度が高いマイルドHV 硬めの乗り心地

今回試乗したのは、システム総合で136psを発揮するA 180。走りの印象には、マイルド・ハイブリッドの仕事ぶりを除いて、目立った変化はないようだ。

ISGのトルクにより、エンジンが低回転で働く場面では力強さが増している。とはいえアシスト時間が短く、明確にダッシュ力が高まった印象までは得られない。

メルセデス・ベンツA 180 AMGライン・プレミアム(英国仕様)
メルセデス・ベンツA 180 AMGライン・プレミアム(英国仕様)

パワートレインの洗練度は高く、高回転域まで引っ張ると張り詰めたノイズが響いてくるものの、不快なほどではない。7速デュアルクラッチATの仕事も滑らかで好印象。まれに発進時にギクシャクすることもあるが、キビキビとギアを選んでくれる。

シャシーには手が加えられなかった。マナーが全般的に優れていることも変わりない。

着座位置は低く、ステアリングレシオは適度にクイック。操舵時には適度な重みが伴い、ボディロールは小さく、回頭性は軽快。連続するカーブを、正確にライン取りしていける。コーナリングの魅力ではBMW 1シリーズの方が上でも、頂点を鋭く狙える。

乗り心地は比較的硬めで、グリップ力に不足はなく、挙動は予想しやすい。カーブの途中に不意の隆起部分が存在しても、ボディが動揺することは殆どない。

ただし、高速域では滑らかに起伏をいなすサスペンションだが、市街地の速度域では揺れが目立つことも変わらない。舗装の剥がれた穴などは、得意とはいえないようだ。

試乗車には、18インチ・ホイールに225/45という肉薄のタイヤが巻かれていた。これも乗り心地にはプラスに働いていないだろう。ロードノイズも大きく感じられた。

プレミアム・ハッチバックとして高い競争力

ボディの骨格はそのままだから、実用性も従来どおり。リアシート側にも大人が快適に過ごせる空間がある。サイドウインドウが小さめで、フロントシートの背もたれが高く、閉塞感も若干あるが。

荷室容量は355Lで、このクラスの平均。荷室のフロア下には、マイルド・ハイブリッド用のバッテリーとオーディオのサブウーハーが搭載され、追加の収納空間はない。

メルセデス・ベンツA 180 AMGライン・プレミアム(英国仕様)
メルセデス・ベンツA 180 AMGライン・プレミアム(英国仕様)

フェイスリフトの範囲は限定的ながら、プレミアムなファミリー・ハッチバックとして、Aクラスは高い競争力を保っていると思う。上品なルックスと上質なインテリア、洗練されたドライビング体験など、強みは少なくない。

しかし、BEVやSUVが入り乱れる英国の販売数トップ10圏内に返り咲くことは難しいかもしれない。英国価格は、3万1880ポンド(約513万円)から。BMW 1シリーズより1000ポンド(約16万円)ほど高めの設定も、有利には運ばないだろう。

メルセデス・ベンツA 180 AMGライン・プレミアム(英国仕様)のスペック

英国価格:3万5580ポンド(約572万円)
全長:4419mm
全幅:1796mm
全高:1440mm
最高速度:215km/h
0-100km/h加速:9.2秒
燃費:15.9-17.0km/L
CO2排出量:135g/km
車両重量:1440kg
パワートレイン:直列4気筒1332ccターボチャージャー+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:136ps/5500rpm
最大トルク:23.4kg-m/1600-3000rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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