廃止は延期 メルセデス・ベンツ『Aクラス』 小型車人気のため2028年まで販売継続へ

公開 : 2025.07.23 06:45

メルセデス・ベンツのエントリーモデル『Aクラス』は2025年末に生産終了予定でしたが、3年間の延長が決定したようです。ラインナップ再編を進める中、需要に応えるため生産をハンガリー工場に移して継続する見通しです。

販売期間を3年間延長

メルセデス・ベンツは、現行の小型ハッチバック『Aクラス』の生産を少なくとも2028年まで継続する方針だ。

同社CEOのオラ・ケレニウス氏はこれまで、Aクラスと小型ミニバン『Bクラス』の生産を2025年末に終了すると繰り返し表明していたが、方針を転換した。現行のMFAプラットフォームを引き続き使用し、改良を加えながら販売することになる。

メルセデス・ベンツAクラスはこれまで、2025年末に生産終了する予定だった。
メルセデス・ベンツAクラスはこれまで、2025年末に生産終了する予定だった。

メルセデス・ベンツは当初、コンパクトカーの販売戦略において、新しいMMAプラットフォームをベースにした4つのモデル(CLA、CLAシューティングブレーク、GLAGLB)からなるラインナップ展開を掲げていた。これらのモデルはすべて、エンジン車とEVの両パワートレインが用意される予定だった。

しかし、関係者によると、この4車種を補完する形でAクラスの改良型が販売される予定で、生産期間は最大3年間延長される見込みだという。

この決定は、2018年発売の現行型Aクラスに対する継続的な需要と、新型EVの導入が予想より遅れていることが要因とみられている。

Aクラス・セダンの生産は今年初めに終了した。ハッチバックの生産は、2026年末に導入されるユーロ7排出ガス規制導入後も継続される見込みだが、既存のガソリンエンジンとディーゼルエンジンが新基準に適合するかどうかは不明だ。

高性能モデルのAMG A 35およびA 45は、M139 2.0Lターボエンジンがユーロ7に対応していないため、販売中止になると予想されている。ただし、その具体的な時期は現時点では不明だ。

ハンガリー工場で生産か

現在Aクラスの生産が行われているドイツのラシュタット工場は、新型CLAおよびCLAシューティングブレークの生産に切り替えられる。そのため、Aクラスはハンガリーのケチケメート工場に移管される見通しだ。

Bクラスの先行きは依然として不透明だが、当初の計画通り、2025年末に生産を終了するとみられている。

メルセデス・ベンツのラシュタット工場
メルセデス・ベンツのラシュタット工場

Aクラスはモデルサイクル延長が決まったようだが、メルセデス・ベンツは引き続きコンパクトカーのラインナップ再編を進める。

CLAの発売に続き、CLAシューティングブレークが年内に欧州で発売される予定だ。現行のEQBは2025年末までに生産終了となり、新世代のGLBに統合され、2026年からハンガリーで生産開始予定だ。GLAも現行のエンジン車とEV(EQA)を統合し、2026年末にフルモデルチェンジを行う。

Aクラスのプラットフォームを新しいMMAに切り替える計画は確認されていない。しかし、生産期間の延長は、電動化や高収益のラグジュアリーセグメントへの移行が進む中、コンパクトカーの必要性を反映している。

2019年、メルセデス・ベンツのコンパクトカーのグローバル販売台数は66万7000台でピークに達した。2024年には、その数字は53万4800台にまで減少した。

メルセデス・ベンツはAUTOCARへの声明で、次のように述べている。

「Aクラスは引き続きお客様からの人気が高く、現在、ライフサイクルの真っ只中にあります。最近、このシリーズは大規模なフェイスリフトにより更新・改良され、さらに魅力的なクルマとなりました。生産終了の日程やラインナップに関する決定については、コメントは差し控えさせていただきます」

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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