英イネオス 新型EV製造でマグナと提携 オフロード向け四輪駆動車、2026年発売予定

公開 : 2023.04.25 06:05

英国の化学大手イネオスの子会社、イネオス・オートモーティブは新型の電動オフロード車の製造をマグナ・シュタイヤーに委託すると発表しました。新しいEV用プラットフォームを使用し、2026年に発売される予定です。

マグナに製造委託 2026年発売へ

英国のイネオス・オートモーティブは、2026年に小型の電動オフロード車を発売することを皮切りに、10年以内にラインナップを4車種に拡大する予定だ。

内燃エンジン搭載のグレナディアに続く同社2台目の市販モデルで、BMW Z4ジャガーIペイス、そして最近ではフィスカー・オーシャンを製造している製造大手マグナ・シュタイヤーによって、オーストリアのグラーツで作られる予定だ。

ショートボディの電動オフロード車が2026年に発売予定だ(画像は予想レンダリングCG)
ショートボディの電動オフロード車が2026年に発売予定だ(画像は予想レンダリングCG)    AUTOCAR

マグナはグレナディアの構想に深く関わっており、小型の電動オフローダーのエンジニアリング開発作業もすべて担当することが確認されている。イネオス・オートモーティブの最高執行責任者はハンス・ペスラー氏であり、以前、マグナでプロジェクト・マネージャーを務めていた人物だ。

EV以外のイネオスの車両は、フランスのハンバッハ工場で製造される見込みだが、同社は世界中に製造施設を新設する可能性も排除していない。

イネオス・オートモーティブのCEOであるリン・カルダー氏は、マグナとのパートナーシップについて次のように述べている。

「わたし達は、重要な最初の製品(グレナディア)のエンジニアリングで協力したことで、マグナの敏捷性、専門知識、経験を車両開発プログラムに適用することの価値を目の当たりにしました」

「グレナディアを足がかりに、グローバルな自動車ブランドとして2つ目のモデルラインを成長させるために、わたし達のコラボレーションを深めることは自然なステップです。再び最高のパートナーと協力し、2026年にまた世界クラスの製品をお客様にお届けします」

英イネオス、自動車部門を拡大

イネオス・グループは英ロンドンに本社を置く化学会社であり、その自動車部門として同社のオーナーであるジム・ラトクリフ氏が立ち上げたのがイネオス・オートモーティブだ。ニッチなオフロード車メーカーではなく、1つのブランドとして確立し、EVや高級車の市場でも信用を築くべく野心的な拡張計画を進めている。

AUTOCARの取材に応じたラトクリフ氏は、これまでにイネオス・オートモーティブ部門の立ち上げに約13億ポンド(約2170億円)を費やしたと明かし、流通やマーケティングチャネルが確立されていても、4車種のラインナップを成立させるには40億ポンド(約6680億円)を超える費用がかかると示唆している。

イネオス・グループの創業者ジム・ラトクリフ氏
イネオス・グループの創業者ジム・ラトクリフ氏

当初は遅れこそあったものの、グレナディアの製造台数は2023年中に年間約25000台まで増強され、米国を含む世界市場で販売が開始される予定である。

一方、新しい小型の電動オフロード車の開発は順調に進んでいるとみられ、スタイリングはほぼ決定し、プラットフォームの開発完了も間近に迫っている。サイズとしては全長4.7mのグレナディアよりかなり短く、全長4.3mのランドローバーディフェンダー90に近いと考えられる。

EV用に開発された新しいプラットフォームを使用するが、グレナディアのデザイン要素を引き継ぎ、オフロード性能も向上させる予定だ。ラトクリフ氏は、400kmの航続距離を目標に掲げている。

「グレナディアより小さく、独自のキャラクターを持ちますが、弟のように見えるでしょう。先月、最新のクレイモデルを見ました」

「EVなので、必然的に重量は多少重くなりますが、グレナディアの航続距離と性能を維持できるものと期待しています。妥協するつもりはありません」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジム・ホルダー

    Jim Holder

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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