見た目は旧車 中身は最新 ペンブルトンT24へ試乗 戦前スポーツカーへのオマージュ

公開 : 2023.06.09 08:25  更新 : 2023.06.09 11:39

ヴィンテージな雰囲気に溢れるコクピット

幅の狭いコクピットへ身体を落とすと、右腕は自然とボディの外側に来る。ステアリングホイールはシンプルな4スポークで、リム部分はレザー。エンジンターン模様が施されたアルミ製のダッシュボードに、小さなメーター類が並ぶ。

助手席側には、深いグローブボックスが備わる。ヴィンテージな雰囲気に溢れている。

ペンブルトンT24 (英国仕様)
ペンブルトンT24 (英国仕様)

大人2名が座れるベンチシートはレザー張り。背もたれの後方には、155Lの収納が用意されている。シートの座面は前後にスライド可能で、足は真っ直ぐ伸ばせる。運転姿勢も悪くない。

スターターボタンを押し、Vツイン・エンジンを始動させる。ペダルは軽く踏め、4速MTは1速が横に飛び出たドッグレッグ・パターン。シフトレバーがダッシュボードから飛び出ており、ゲートがタイトで、少々慣れが必要だと感じた。

カーブを描いて立ち上がったスカットル部分と、小さなアクリル樹脂製のスクリーンが、ドライバーを風雨から守ってくれる唯一の装備。ソフトトップの設定はない。

身長が170cmほどの筆者でも、走行中は顔に当たる風を避けるため身を屈める必要があった。それより背が高い場合は、ゴーグルとキャップは被った方が良いだろう。

すべてを忘れるくらい運転が面白い

細いスポークホイールは18インチ。クラシカルなクロスプライ・タイヤが巻かれ、路面からの入力やステアリングホイールの操作に合わせて動くのが見える。ケータハムのように、格上のスーパーカーを追い回せるほどではないにしろ、充分以上に活発だ。

低回転域で振動が目立つ2気筒エンジンは、常用の回転域では滑らかに変化。3500rpmから7750rpmのレッドラインまで、吸い込まれるように上昇する。少しこもった、聴き応えのあるサウンドを放ちながら。

ペンブルトンT24 (英国仕様)
ペンブルトンT24 (英国仕様)

乗り心地は素晴らしく、しなやかで落ち着いている。ラックアンドピニオン式のステアリング・ラックはギア比が低く、ハイスピードでヘアピンを回るような場面では、積極的に腕を動かす必要がある。

とはいえ重心が低く、敏捷に反応する。フロントタイヤのグリップが抜けるまで、コーナリング・スピードを追求できる。操縦性はクラシックカー然とはしていない。T24は、すべてを忘れるくらい運転が面白い。

試乗中、たまたま居合わせた男性が近寄ってきた。何年式のクルマで、レストアにどのくらい時間を要したのか、真面目に筆者へ尋ねるために。

T24の英国価格は4万2474ポンド(約684万円)から。安い金額ではないものの、戦前のスポーツカーへのオマージュとして、素晴らしい仕上がりにあると思う。この金額があれば、英国なら状態の良いMG TAが買えるとはいえ。

ペンブルトンT24 (英国仕様)のスペック

英国価格:4万2474ポンド(約684万円)
全長:3220mm
全幅:1600mm
全高:980mm
最高速度:160km/h
0-100km/h加速:6.3秒(予想)
燃費:21.2km/L(予想)
CO2排出量:−g/km
乾燥重量:361kg
パワートレイン:V型2気筒853cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:79ps/7750rpm
最大トルク:8.1kg-m/5000rpm
ギアボックス:4速マニュアル

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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