想像よりは安いかも? フェラーリ488 チャレンジへ試乗 型落ちカップカーだけでレース

公開 : 2023.09.01 08:25

メカニズムは頑丈で信頼性も高い

年式の新しい488 チャレンジが、圧倒的に有利というわけではない。とあるドライバーは、F430 チャレンジで参戦し2位でフィニッシュしている。優れた技術があれば、上位を狙える。

フェラーリを愛し、サーキットの走行会へ積極的に参加し、次へステップアップしたいというドライバーは少なくありません。シリアスなレースだからこその、スリルを味わいたいと考える人は多いのです。このシリーズは最適だと思います」

フェラーリ488 チャレンジ(2016年)
フェラーリ488 チャレンジ(2016年)

参加するには、年間295ポンド(約5万円)の登録料を収め、1イベント当たり1350ポンド(約24万円)を支払う必要がある。これには20分間のプラクティスが含まれ、1戦30分の本番レースが2回開かれる。パドック裏のホスピタリティも充実している。

ただし、レーシングカーだから公道は走れない。サーキットまでは自己負担で運ぶ必要があり、タイヤやブレーキパッドなど消耗品も準備しなければならない。うっかりコースアウトしたら、その修理費も発生する。きっと少額ではないだろう。

とはいえ、フェラーリのチャレンジカップカーは驚くほど堅牢だという。シフトパドルで変速できるから、操作を誤ってトランスミッションやV8エンジンへダメージを与える可能性は低い。

「メカニズムは頑丈で、信頼性も高いといえます。コストは、どの程度の競争力を維持するかで変わります。レース毎にスリックタイヤを新調するなら、かなりの費用が求められますが、その必要はまったくありません」。とピーターが説明する。

極めて速く限界領域での扱いも容易

筆者がお邪魔したのは、グレートブリテン島の中央部に位置するドニントンパーク・サーキット。ベルスポーツ&クラシック社が準備した、カラフルな488 チャレンジを運転させていただいた。

チャレンジカップカーは、フェラーリのレーシングカーの入口。これが現役だった頃には、488 GT3や488 GTEル・マンなど、クラス上のマシンが位置していた。だとしても痛快に楽しく、笑いが止まらなかった。

フェラーリ488 チャレンジ(2016年)
フェラーリ488 チャレンジ(2016年)

最高出力は670psで、サスペンションやブレーキ、タイヤなどはレーシング・アイテム。すべてが本物で、エントリー・マシンだとは思えない。

そして極めて速い。チャレンジカップカーだけでのテスト走行に混ざったが、追い越される気配は一切なかった。圧倒的にパワフルで、不気味なほどグリップするだけではない。限界領域での扱いが容易なのだ。

筆者のようなアマチュア向けにセットアップされ、トラクション・コントロールは介入のタイミングとレベルを細かく調整できる。充分に温まったリアタイヤを信じて、ブレーキを引きずりながらコーナーへ侵入できる。

脱出加速時にテールが流れてオーバーステアへ転じても、慌てる必要はない。右足を倒したまま、スライド量に合わせて必要なカウンターステアを当てればOK。ストレートめがけて、一心不乱の加速へ移れる。

フェラーリのチャレンジカップカーは素晴らしい。だが、それを活かす機会を作ったアイデアも素晴らしい。ご興味を持たれたら、ベルスポーツ&クラシック社のWEBサイトを訪ねてみてはいかがだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アンドリュー・フランケル

    Andrew Frankel

    英国編集部シニア・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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