米高級EVメーカー、右ハンドル車の導入を検討 ルーシッド 「1年半後」目処に開発に前向き

公開 : 2023.11.20 18:05

・米国の新興自動車メーカー、ルーシッドが右ハンドル車市場に参入か。
・高級セダンのエア、7人乗りSUVのグラビティなど発売の可能性。
・英国人CEO、右ハンドル車の開発に「少なくとも1年半かかる」と発言。

右ハンドル市場に前向きな姿勢

米国の自動車メーカーであるルーシッドは、右ハンドル車の導入に前向きな姿勢を見せている。同社は2021年に電動セダンのエアを米国で発売し、先日電動SUVのグラビティを新たに公開したが、現時点ではいずれも左ハンドルのみの設定となる。

ルーシッドのピーター・ローリンソンCEOは、11月17日にロサンゼルスで開幕したLAオートショーで取材に対し「右ハンドルにしなければならない」と語ったが、「少なくとも1年半は必要」と強調した。

EVのルーシッド・エアは米国EPAサイクルで最長837kmの航続距離を誇る。
EVのルーシッド・エアは米国EPAサイクルで最長837kmの航続距離を誇る。

ローリンソンCEOは新型グラビティの生産開始を優先しつつ、ドイツや右ハンドルの英国など欧州市場にも力を入れるとした。「高級EVにとって、ドイツと英国は他のどの国よりも非常に大きな市場です」

「右ハンドルのエアを作らなければなりません。そのためには、おそらく1年半はかかるでしょうし、グラビティの設計と開発には主要なエンジニアチーム全員が携わっているので、本当にバタバタしています。グラビティは現在、ミネソタ州で冬季テストを行っています」

「また、テスラモデルYモデル3の競合車となる中型車の開発プロジェクトにも取り組み始めています」

ルーシッドの “中型” モデルは2027年頃に登場する予定で、目標価格は5万ドル(約745万円)前後から、開発は順調に進んでいると見られている。

「当社は今、多くのことに取り組んでいます。右ハンドルのエアを作るのはかなりのプロジェクトで、少なくとも1年半はかかります」

テスラは現在、英国で左ハンドルのモデルSを販売しているが、これと同様に左ハンドルのルーシッド・エアを投入することはできないのか。ローリンソンCEOはこの質問に対し、同市場での完全なスケールアップを促進するには需要が低すぎるため、不可能だろうと答えた。

「真剣に検討したこともありますが、数字を見て考えました。はたして何台売れるのかと。20台、30台? コストもかかりますし、お客様に悪いサービスを提供したくないのです」

「ロンドンの少人数ならまだしも、英国全土に及んだらどうなるか? マンチェスターで修理が必要になったら? 到底実行できるものではありません」

「そのため、現実的には2年後ですね。もう少し短くなるといいのですが。少なくとも1年半です。明日から始めたとしても1年半はかかります」

ローリンソンCEOは英ウェールズ生まれで、ロータスジャガーといった英国の自動車メーカーでエンジニアリング部門を率いてきた。そうした経歴からも、右ハンドル、特に英国導入には積極的なようだ。「問題はいつになるかです。やらなければなりません。わたしは英国人ですから」

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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