ヴェンサー・サルテ

公開 : 2014.11.14 23:40  更新 : 2015.06.16 16:36

しかしこれらの欠点は、全体を見渡せばほんの一部でしかなく、身のこなしは、ルックスと同様に非常に完成度の高いレベルにあると言っていい。最終的にはABSを組み込む予定のブレーキの効きやフィールもうっとりしてしまうほどである。ステアリングの反応や雑味のないフィール、乗り心地の良さなどは、少量生産のスーパーカーの中では一頭地を抜いている。トラクションにおいても欠点を見つける方が難しいくらいだし、ミドル-コーナーの落ち着きも同様に心から感動できるレベルである。

エグゾースト・ノートに関しても心配ご無用。とても、とても素晴らしい音を奏でてくれるおかげで、サルテに乗っているあいだじゅう2000rpmより下にレヴ・カウンターが落ち着くことは発進と停止時以外になかった。低回転域ではV8特有の低いゴロゴロという音があたりに鳴り響き、5000rpmから6800rpmまでは耳をつんざくような雄叫びに変わるのだ。

実際にこの音を耳にすれば、他では味わえないような幸福感に浸ることになるだろう。筆者自身もやみつきになってしまい、チャンスを見つけては低いギアに入れ、耳が痛くなるまで繰り返し繰り返し、高らかなエグゾースト・ノートに耳を傾けたのだった。

これほどの出来栄えならば、簡単に1年に12名のカスタマーを確保できるはずだし、実際にそのうちの1台は中国の特約店のおかげで、すでに嫁ぎ先が決まっているとのこと。唯一の問題といえば、長蛇の列の先頭が、幼き頃の夢を叶えたコッベン氏ではないことくらいである。

いや、この場合においては ’嬉しい悲鳴’ と表現するのが適切なのかもしれない。

(スティーブ・サトクリフ)

ヴェンサー・サルテ

価格 £250,000(4,550万円)
最高速度 338km/h
0-100km/h加速 3.6秒
燃費 7.4km/ℓ
CO2排出量 NA
乾燥重量 1470kg
エンジン V型8気筒6282ccスーパーチャージャー
最高出力 630ps/6500rpm
最大トルク 85.4kg-m/4000rpm
ギアボックス 6速マニュアル

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