「EVの時代にこそ合致する」 アストン マーティン・ラゴンダ(2) 接触不良など些細なこと 大トルクが誘う速度上昇

公開 : 2026.04.29 17:50

1976年に発表された、社運を賭けたラグジュアリー・サルーン「ラゴンダ」。ウェッジシェイプ・ボディとデジタルディスプレイへ、多くの人が魅了されました。EVにこそ合致する、その特徴とは?

経営危機の脱出へ貢献したラゴンダ

1976年10月に発表されたアストン マーティン・ラゴンダ・シリーズ2は、ロンドン・モーターショーで注目の1台になった。閉幕までに、80台の注文を集めたという。大胆なスタイリングは異論も呼んだが、経営危機の脱出へ貢献したことは間違いない。

1986年のシリーズ3では、メーターは見やすいブラウン管式へ変更。5.3L V8エンジンはインジェクション化され、約300馬力まで強化された。

アストン マーティン・ラゴンダ・シリーズ2(英国仕様)
アストン マーティン・ラゴンダ・シリーズ2(英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

1987年にシリーズ4へ進化し、見た目はリフレッシュされ、16インチ・ホイールを獲得。リトラクタブルヘッド・ライトは、固定式の3灯へ改められた。

パーソナライゼーションにも、力が入れられた。コーチビルダーのティックフォード社を介し、全長を125mmほど伸ばした例も作られている。

接触不良など些細なことにしか思えない

2026年でも鮮烈な佇まいにあるラゴンダは、約500台が残存すると考えられている。今回筆者がステアリングホイールを握った、初期のモデルも含めて。現在の管理者は、アルビオン・クラシック・カーズ社。ラゴンダを専門的に扱う、貴重なガレージだ。

ラゴンダ・シリーズ2は特に、信頼性の低さが悩みだった。代表のディミトリ・ラビス氏によれば、電気系統のコネクターが湿気で腐食することが原因だったという。

アストン マーティン・ラゴンダ・シリーズ2(英国仕様)
アストン マーティン・ラゴンダ・シリーズ2(英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

比較的乾燥した、アメリカ東海岸や中東の国々では、実際故障は少なかったようだ。他方、雨が多い英国や冬が厳しい北欧では、ブランドの評判を下げることになった。

このスタイリングを目の当たりにすれば、接触不良など些細なことにしか思えない。角ばったドアを開き、クッションの効いたシートへ腰を下ろし、ふかふかなカーペットを足で踏む。キーをひねると、ブラックのパネルへレッドのLEDが灯る。

目からウロコに正確なステアリング

ステアリングホイールは、体格へ不釣り合いなほど小径。リムが、コダワリのメーターパネルの一部を隠す。モニターだらけの現代のダッシュボードより、好感が持てる。

ドア側には、14個のボタン。シートの角度調整も、そこでできる。シフトセレクターを倒しDを選ぶと、V8エンジンの排気音を微かに響かせながら、ラゴンダは静かに発進する。扁平率70のエイボン・タイヤで、路面のザラつきを均しながら。

アストン マーティン・ラゴンダ・シリーズ2(英国仕様)
アストン マーティン・ラゴンダ・シリーズ2(英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

想像以上にクイックで正確なステアリングは、目からウロコ。パワーアシストは過剰ではなく、切り始めから適度な感触を伴う。全幅へ慣れれば、半世紀前に設計されたビッグサルーンとは思えないほど扱いやすい。グリップ力に優れ、ボディロールは小さい。

3速ATがダイレクト感を削ぐものの、右足を倒せば、豊かなトルクが急激な速度上昇を誘う。デジタル・タコメーターの表示が、追いつかないほど。古さをまったく感じないといえば嘘になるが、印象はかなりイイ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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