アルピーヌ・ルノー、いよいよ2016年デビュー

公開 : 2015.06.09 22:50  更新 : 2017.06.01 02:09

ルノーは新しいアルピーヌ・ブランドのスポーツカーを2016年におよそ£50,000(950万円)という価格で発売する。

待望久しいアルピーヌ・ルノーは、来月のル・マン24時間耐久レースで行なわれるイベントで、そのコンセプト・モデルが公開される予定だ。それは、最終的なプロダクション・バージョンに近いという。また、この新しいアルピーヌは、伝説的なアルピーヌであるA110をオマージュしたものとなる。

ロンドンで開催されたクラークウェル・デザイン・ウィークで、ルノーのエクステリア・デザイン・チーフであるアンソニー・ローはAUTOCARに「アルピーヌに関する情報を、ル・マンで知ることになるだろう。」と、語ってくれた。

また、このコンセプト・モデルは、アルピーヌの60周年を祝い、その後のグッドウッド・スピード・オブ・フェスティバルにも登場する予定だ。グッドウッドでは、1955年のアルピーヌA106、A110、1978年のル・マン・ウィナーであるA442b、そして450bも展示されるという。

2013年夏からニュルブルクリンクでテストを行っている新しいアルピーヌは、既にテストの最終段階に入っていると考えられる。リア・ドライブの2シーター・クーペとなる予定だ。初期モデルは、ロータスのボディ・ワークをベースに開発されていたが、現行のテスト・モデルは全く新しいプラットフォームが使用されていると見られる。ニュルブルクリンクでテストを繰り返しているチームの中には、サスペンションのスペシャリストであるオーリンズも含まれていた。

ルノーは、この新しいアルピーヌが、これまでのアルピーヌの後継モデルとしての役割をもっており、そのライバルはポルシェ911であると断言している。

ルノーのデザイン責任者であるローレンス・ヴァン・デン・アッカーは、「20年以上の時を経たアルピーヌの新しいチャレンジとなるが、信頼に足るものになると言えるだろう。まずはそのベースとなるモデルを作る必要があった。911のアルピーヌ版とも言えるモデルをリリースし、もし正しく評価を受けるのであればパナメーラのようなモデルも造り上げることができる。」とコメントした。

このアルピーヌ・プロジェクトは、2012年にケーターハムとのジョイント・ベンチャーとしてスタートした。しかし、その計画は決裂し、2014年からはそれぞれ別のプロジェクトとして動いてきた。この時のアルピーヌのコンセプト・モデルは、2012年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでも公開されている。

A110ベルリネッタの生誕50周年を祝う意味で、アルピーヌ110-50と名づけられた最初のコンセプト・モデルは、400ps/7200rpm、43.0kg−m/6200rpmを発揮する3.5ℓV6が搭載され、シーケンシャルの6速ギアボックスと、メカニカル・リミテッド・スリップ・デフが組み合わせられていた。A110をリスペクトしたこのモデルは、1962年のオリジナル・モデルに敬意を表し、フロント・グリルのセンターにはフォグランプをイメージしたLEDランプがデザインされている。また、そのカラーリングも代表的なアルピーヌ・ブルーにペイントされていた。

この初期のプロトタイプのデザインは、カスタマーからの意見を元に、デザインの変更が加えられたという。ルノーとケータハムの共同開発は2014年に破局を迎えたが、将来的にこの2社が再び関係する可能性までは否定していない。

21世紀のベルリネッタ、と言われる新しいアルピーヌは、この両社の共同開発から離れた新しいデザインとインテリアが与えられているようだ。

なお、その発売は、当初の計画であったよりも1年遅れた2016年になる。

内部的にはC120と呼ばれていたケータハムのスポーツカーは既にそのほとんどが完成していたと思われたが、ルノーとケータハムの新しいスポーツカーは同時に発表される取り決めがあり、その両社の発表に関するタイムラグが、このプロジェクトを訣別させる原因にもなったと思われる。

ケータハムは、ルノーと共同開発したテクノロジーをそのまま利用していると予想される。また、ケータハムの関係者は、破産したドイツのスポーツカー・メーカー、オルテガのミドエンジンのプラットフォームと生産設備を使用するのではないかという噂については否定している。

現時点で予想されるケータハムのスポーツカーは、およそ305psのエンジンを搭載する一方で、アルピーヌの方は253psのエンジンを搭載し、そのボディ重量は1100kg前後だという。もちろん、この2台は別々のボディとインテリアを持つ。また、ハンドリングやドライビング・キャラクターも異なるという。また、ケータハムは最初のモデルとリリースした後に、よりパワフルなモデルも計画しているようだ。

昨年のモスクワ・モーターショーでヴァン・デン・アッカーはAUTOCARにアルピーヌの将来に対する展望を語ってくれた。

「アルピーヌというブランドが作り出すビジネスを正しいものに導きたいと考えている。多くの人がアルピーヌというブランドに期待を掛けてくれている。だからそこ、最初に登場するモデルは、期待通りのものに仕上げなくてはならない。その詳細については多くは語らないことにしているが…。確かに、スポーツカーは絶滅に瀕しているカテゴリーとってもいいだろう。しかし、絶滅しない10の理由がある。」

ヴァン・デン・アッカーはアルピーヌを優先させることを決定し、ディジールのプロダクション・モデルを先延ばしにすることを決意したという。

ケータハムとの協業が決裂したため、開発はいくつかのステージで遅れが生じたものと思われる。

ケータハムのCEO、グレアム・マクドナルドはその詳細については触れることをしなかったが、その関係性には常に緊張感があったということを認めている。「その進行について両社に不満があった。われわれのこのプロジェクトへの挑戦はいちからのものであり、それが簡単なことではないことを知っていた。われわれは小規模の小さな会社だし、一方のルノーは大規模な会社であった。その違いからも不満が生まれたのだと思う。」とコメントした。但し、2013年にルノーの社長に付いたカルロス・タバレスがその要因ではないという。

なお、今回新たに登場するアルピーヌは、2012年のグッドウッドに登場したコンセプト・モデルとは大きくことなるという。また、ルノーはここ数週間の間に、ソニー・グランツーリスモ用のバーチャル・レーサーを公開する予定だ。ただし、このグランツーリスモ用のバーチャル・モデルは、カラーリングこそアルピーヌ・ブルーを纏うが、新しいアルピーヌのデザインとは何ら関係性を持たないという。

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