長期使用報告

2013.08.01

日産リーフ

EVを日常生活へ!!

今回から日産リーフが長期レポートに加わる。山梨県甲府市にお住まいの小林 薫さんは、とくに自動車業界に関わっているわけではなく、いわゆる一般の方だ。EVのある日常生活、そしてリーフに対する率直な印象を、ごくフツーの目線で語ってもらいたいと思う。

              ●

2010年の夏、新聞広告に入っていたリーフの試乗会の案内を見て、ぶらっと近所の日産ディーラーを訪ねました。それまで車名すら知らなかったリーフを初めて試乗。そして、その加速に感動したのが事の始まりです。そしてとうとう2011年12月にはリーフが納車されることになり、EVライフがスタートしたのです。

EV車の最大の問題は何と言っても航続距離。私の住んでいる甲府市は盆地となっており、生活圏はほぼ50km圏内となっています。ちなみに山梨県内のゴルフ場などもほとんどその中にあります。いくつかの勤務場所へクルマで通勤しますが、ほとんど往復30km以内、多くても40km程度であり、山に囲まれた盆地での利用においてはちょうど良い環境にあると思います。年に数回は東京、静岡、長野などに出かけますが、この時は充電計画を立てるか、レンタカーを利用することになります。

この課題の解消には、電池の容量を増やすか、充電インフラの充実が必要です。まずは急速充電設備を増やせば解決することであり、電気代は安いので充電ビジネスの普及も時間の問題かと考えています。それにしても、中央高速道のSA(談合坂、双葉等)にはなぜ設備がないのでしょうか? 早く何とかしてほしいと思います。

さて、前述のリーフの試乗会後、横浜で一日レンタカーのリーフを借り、江ノ島、三浦半島方面をドライブ。ほぼ100km程度運転しましたが、特に大きな問題点は感じませんでした。しかしEV車での生活がどうなるかは、実際に購入して利用しないと分からないな、というのがそのときの率直な印象でした。

これまで乗っていたのは、15年前に購入したトヨタ・クレスタ。車検が年明け2月だったので、ちょうど買い替えの時期でした。しかしなかなか気に入ったクルマがなく、クレスタのエンジンの調子も良かったので、再度車検を通す可能性も十分にありました。年齢も還暦近くとなってきており、買い換えるならクレスタより車体長の短いハッチバックタイプがよいのではとは考えていました。また私は身長が185cm以上あるので、室内が広いことも必須でした。

現在勤務している会社も4月から非常勤になり、時間的に余裕ができた事も幸いしました。また仕事で遠出する機会はほとんどないので、ひとまず走行距離などについては心配はありませんでした。そこでリーフの購入を検討することになったのですが、すぐに感じたのは、このクルマをハンドリングするには、ある程度の電気の知識と興味が必要かなと思いました。CMのように女性が日常的に使用するにはまだちょっと無理があるかもしれないというのが、個人的な感想です。また、自宅の駐車場に充電ステーションを設置するスペースを確保できることも必要です。都会ではなかなか難しい場合もありそうですが、田舎では問題にはならないでしょう。

また、普段私が利用することはありませんが、家族がプリウスに乗っており、一応これがあるというのがリーフを購入できた理由の一つなっています。加えて、自宅のある団地のすぐ裏に、急速充電器を設置した日産ディーラーがあるのはたいへん心強いものです。

日産の営業担当者から、個人に販売するのは初めてであるとは早くから聞いていました。しかし甲府地区を担当する工事屋さんがボックスタイプの充電ステーションの設置は初めてなのと、東電の甲府サービスステーションへの問い合わせで、個人からの相談は初めてであると聞いた時は、正直なところ不安がよぎったのも事実です。東電との契約は、結局「おトクなナイト8」に変更しました。

燃費(電気代)はクレスタの約1/10。これはたいへん有難いもので、ほとんど気にしないで車を乗り回すことができます。またパソコン・携帯などとリーフ間の通信が可能で、乗り込む前にエアコンを作動させることができるなどたいへん便利です。この機能を有効活用するために、長年愛用したウイルコムのPHSを6年ぶりにPHSとスマホとのセット製品に機種変更しました。ふと気がつくと、こんなふうに、少しずつ日常生活に影響があるのかもしれません。次回は、もう少し具体的に納車後の利用状況をお伝えしたいと思います。

(AUTOCAR No.106 2012年1月26日発売号掲載)

リーフと人生観

静かな車内空間に流れる音楽の中で得られる爽快な加速感は、体の隅々にまで感ずる感動となり、まさに次世代のクルマであることを日々実感しています。

2011年夏のリーフ試乗から、レンタカーでの1日ドライブ、充電ステーションの検討、東電との契約見直しを行いましたが、特に問題はなく10月末に正式発注。

そして納車日の12月9日になり、この日は日産のディーラーへは数分の距離なので歩いて行き、待望のリーフの引渡しを受けました。それから約2ヶ月経ち、ここまで十分満足できるEVライフを過ごすことができています。

快適さと燃費は期待以上、覚悟した航続距離の問題はだいたい予想通りとなっています。

まずは、冬場の使用はかなり厳しくなります。車内の暖房で電気がどんどん減り、走行距離ではなく走行時間に比例するので、市街地は特に減るのが早い。寒冷地や冬の時期にはかなり不向きです。トルクが強いので雪道は得意とありますが……? 夜遅く帰って来た時に充電ケーブルをつなぐのも寒くてちょっと辛いですね。

それと登りの坂道もかなりきつい。但し、下りになればその分充電してくれるので、往復なら問題ないのが救いです。電気の減り方で、今まで気がつかなかった勾配を知ることができました。例えば、甲府駅から南方面へはそれなりに下っているようです。

納入後約1ヶ月間の慣らし運転も終り、河口湖方面に友人とドライブ。甲府市街から45km位で、ちょうど往復できる距離ですが、試しに急速充電ステーションを利用することにしました。河口湖周辺には3ヶ所ありますが、24時間利用可能で無料の富士河口湖町役場を選択。前日役場に確認の電話を入れると、自由に来てセルフで充電して下さいと言われたのは、ちょっと驚きでした。当日は操作が初めてでちょっと手間取りましたが、何とか充電。約15分で40%ほどを補充できました。前夜の積雪で、雪景色の中での充電となりましたが、急ぎでなかったのでいいトイレ休憩となりました。

ここまで、購入前あった漠然とした不安はほとんど払拭され、快適なEVライフを過ごす事ができているのは何故なのか?

先日、購入した甲斐日産の担当営業の方から「リーフの評価は、試乗やレンタカーだけではなかなか難しく、実際に自分のクルマとして購入した場合の評価はちょっと違ったものになるようです……」と言う話を聞きましたが、正しくその通りだなと思う日々になっています。

リーフによるEVライフが期待以上となっているのは、私の人生観に合致したことも理由のようです。まずひとつは、人生の選択では全て一長一短があり、完璧を求めることをしない傾向があることです。今の社会は価値観が多様化しており、常に良い事と悪い事とは表裏一体で存在します。デメリットを並べていても何も前には進みません。リーフの購入にあたっては、使い勝手の悪さについて、かなりの覚悟を決めていたのは事実です。それさえできれば快適なEVライフを手に入れることができるようです。

もうひとつは、私の場合は日常生活の快適さを重視する傾向がある事です。月に一度位ある遠出の時をちょっと我慢すれば、残りの約29日は快適な日々を送ることができます。リーフの場合、遠出時は充電計画を考えるか、レンタカーを利用する必要がありますが、遠出の頻度が少なければ全く苦になりません。人によっては、その逆で日常は多少我慢しても遠出時をしっかりと楽しみたい方がいるのも事実です。日常を大切に考えるタイプの人は、有益なEVライフが送れそうで、同じようなライフスタイルの方には間違いなくお勧めです。

次回では、ここまでの経験から、EV車の市場はどこにありそうかを考えてみたいと思います。

(AUTOCAR No.107 2012年2月26日発売号掲載)

リーフはクルマ社会の地方都市から

甲府は典型的なクルマ社会の街です。通勤はほとんどの人が自家用車を使い、郊外には大型ショッピングセンターや家電量販店が増えてきています。

昨年も、甲府郊外にイオンモールができました。このモールには、EV用の専用駐車スペースが3台分設けられていて、普通充電用の設備が設置されています。1時間無料で充電でき、この充電で20Kmぐらい走る事ができます。利用するには事前登録が必要ですが、その後は受付に連絡するだけで自由に使えます。たいへん便利なので、すでに何回か行きましたが、登録台数はまだ数十台らしく、いつも3台分空いていました。しかしプラグンイン・ハイブリッド車も発売されたので、これからは利用車が増えていきそうです。

駐車して充電をしていると、通る人達が物珍しそうに覗いていきます。傍を通る人たちから、「生でリーフを見たよ」、「充電は無料なんだ」などと、いろいろな声が聞こえてきました。地方都市でも、EVに興味ある方がかなり増えてきていることを実感しています。

リーフを購入してから、いろいろな解説記事を読んでいると、どうしてもいくつかの疑問を感じます。ひとつは、東京や横浜などには多数の充電ステーションがあるのですが、なぜ都会からなのでしょうか? それと、セカンドカーとしての購入の可能性が言われていますが、使い勝手が悪く、価格も決して安くはありません。ここまでの使用体験から、リーフが主役になれるのは「クルマ社会となっている地方都市でのメインカー」ではないかと考えるようになりました。

都会では休日の遠出に使う事が多く、航続距離の短いリーフには不向きです。一方クルマ社会の田舎で毎日乗るのには、ほとんど問題がありません。緊急時にバッテリー残量が少なくても、タクシーを使えば良く、大きな問題ではありません。そもそも田舎では、通勤がほとんどクルマで、多くの家で複数のクルマを持っています。このような家で1台EVにすることは、全く問題がありません。

また、自宅に充電ステーションは必須となるため、都会ではなかなか難しいですね。特にマンションやアパートでは、ほとんど不可能ではないかと思われます。その点田舎では全く問題なく、今はオール電化の普及からほとんどの家庭で3相200Vが標準となっています。

それと重要な点として、ガソリンスタンドの問題があります。地方都市では、ガソリンスタンドが急激に減っています。最近のクルマの燃費が向上しているためか、経営を圧迫しているようです。場所によっては近隣にスタンドが無く、自宅で充電できるEVのほうが便利になってきています。電気のインフラはかなりの山奥まであり、震災などでガソリンは無くなっても、電気はそれなりに早く復旧していることを考えても有利といえます。

このように考えますと、リーフは地方都市などの田舎で、一定のエリアで日常的に使われるメインカーが本命ではないでしょうか。事実、私の知り合いの何人かが購入の検討を始めており、EVが地方都市から静かに広まっていく予感を感じています。

次回は、いよいよ標高差のある高速道路での走行レポートをお届けします。

(AUTOCAR No.108 2012年3月26日発売号掲載)

リーフで中央自動車道へ

いよいよリーフで初めて高速道路を走行しました。車体が低重心構造のため、道路に吸い付くような感じで走り、非常に安定感のある爽快な気分を味わう事ができました。エンジン音がないので、タイヤからの音は路面状態によっては大きく異なることが良く分かります。また、それが小さい時は、車体の風切り音の方が大きかったと思います。上り坂もEV自慢のトルクで力強く登っていき十分満足できるものでした。

今回は、甲府から中央自動車道で八王子の日産拝島橘店を往復しました。片道約90kmあり、山梨から東京方面に行くと最初にある急速充電ステーションとなります。80%充電でそれぞれ出発し、到着した時の残りの航続距離は、八王子着で35km、甲府着で25kmでした。標高差は約170mあり、暖房の代わりに膝かけを使用する省エネ運転でこの結果になりました。夏になったら何とかエアコンを使えそうです。

また、実測値の電費はそれぞれ、7.9km/kWhと7.2km/kWhとなり、日常市街地を走行するよりも良い結果となっています。この結果をみると、この八王子の充電ステーションを利用することにより、甲府と東京間約125kmを往復できそうです。ちなみに日産拝島橘店における急速充電設備の利用は、週に10〜20車程度であり、EVはまだまだこれからのようです。

昨年12月にリーフを購入し、最も予想外だったのは、周りの人の反応でした。高校の先輩である本誌編集長の「田舎の普通の人がなぜリーフを買えたのか?」を始め、多くの人の驚きの声を聞く事になりました。地方都市でもテレビCMの効果なのか、EVに関心を持っている人はかなり多くいるのは間違いないようです。しかしクルマのマニアでない個人がリーフを買うのはまだ珍しいことであるのを、皮肉にも購入後知ることになりました。

なぜ実際に購入する人が少ないのか? 多分EVが今のガソリン車とあまりにも違い過ぎるために、その使用イメージがつかめないのではないかと思われます。よく航続距離の問題が指摘されていますが本当にそうなのか? これが気になる人はEVは一生難しいかもしれません。なぜならばこの航続距離について向こう数十年は解消されないからです。バッテリーはデジタル製品ではないので急激な性能向上は望めません。また急速充電ステーションは今より増えても、同時にEV車も増えるので、基本的に解消されないのでは。結局、充電時間が必要であることはEVの本質であり、絶対にガソリン車と同じにはならないと言うことです。この問題が気にならず、逆に面白いと思えるような人が購入できるようです。したがって、EVをこれから普及させるには、漠然とした不安を取り除き、購入後のEVライフの使用イメージをどのように与えるかが重要になると考えられます。どうすれば可能かはたいへん難しく、これからの各メーカーの出方に注目されます。

次回は、高速走行時のレスポンスと、多くの方が興味を持っておられる充電に要する電気代について報告します。

(AUTOCAR No.109 2012年4月26日発売号掲載)

高速走行時のレスポンスと電気代

EVにはギヤチェンジがありません。ガソリン車では追い越し時、シフトダウンによる加速を行いますが、EVにはそれがない? 高速走行時の上り坂などで追い越しができるのだろうか、急にそれを確認したくなり、早速中央自動車道の登り坂での追い越し走行を行いました。その結果、EVの持つ高速走行時の加速性能は期待以上のもので、その秘めたる力にたいへん驚嘆させられることになりました。

試走した中央自動車道は、甲府と大月間の約40km。途中標高680mの笹子トンネルがあり、その登り口はかなりの急勾配になっています。試走の結果、前に乗っていた2.5ℓのクレスタと比べても遜色なく、高速性能の素晴らしさが確認されました。ひと組の減速ギアを介して前輪を駆動する仕組みになっており、シフトダウンなしに一気に加速できる強みが実証された感じです。しかし、追い越し車線を多く走行した結果、電費は2割以上悪くなっており、普段の遠出でこのような運転は難しいですね。

購入前の検討で大切なのが、自宅での充電設備の設置。自宅は約30年前に建てられた家ですが、配電盤までは単相3線式200Vが引き込まれており問題はありませんでした。充電用コンセントは、駐車場が家の壁面に面していなかったので、ケーブルを格納するボックスを駐車場の中に設け、その中に装着しました。甲府地区担当の工事屋は、このようなボックスの活用は初めてで、あまり利用されていないとの事でした。実際に使ってみると、毎回ボックスの中にケーブルをしまうのはやっかいで、盗難等の心配がなければ、壁面に巻くだけの方が良さそうです。

東京電力との契約は、夜間料金が安くなる「おトクなナイト8」に変更、基本契約も4kVAから6kVAに増やしました。これにより充電に使用する午後11時から翌朝7時までの間は9.17円/kWhとなります。基本料金はほとんど変わりませんが、昼間の料金が約22%高くなりますので注意が必要です。これにより電力メータも昼間と夜間の使用量が5秒毎に切り替え表示されるものとなりました。

このような充電環境で電気代はどうなるのか? 先月の走行距離は815km。平均電費6.8km/kWhから試算してみると、約1.35円/kmとなり、金額は約1100円。これに昼間の料金の増加分が概算で1200円位あり、合わせて約2300円程度となります。ちなみに自宅での充電は、11回の合計約42時間で、電気代は約1150円となり、だいたい一致しています。なお、自宅の200Vでの充電は3kVAで行われています。電気代が安いので、燃費を気にすることなしに外出でき、間違いなくたいへん魅力的です。

しかしこれだけを理由に買うには、リーフの車体価格は高いですね。バッテリー寿命の心配もあり、燃費が安いというだけでリーフの購入を考える人はいないと言っても過言ではないでしょう。あくまでも付録的なメリットだと考えた方が良さそうです。

次回は、EV普及に重要となる「ながら充電」についてお届けします。

(AUTOCAR No.110 2012年5月26日発売号掲載)

EVには「ながら充電」がいい

EVの普及には、急速充電スポットだけではなく、「ながら充電」スポットの広がりが必須になりそうです。どのくらい便利なのか、ゴルフ場で実践してみました。

山梨県の清里には、丘の公園で運営しているゴルフ場があります。そこにラウンド中の充電をお願いしたところ、快く協力していただけることになり、早速友人と共に出かけました。清里・野辺山地区には全く充電スポットがありません。甲府から約50kmの距離ですが標高が1176mもあり、途中の急勾配を考えると、帰りの電気がちょっと心配な距離となっています。

当日、ゴルフ場に着いたのが8時半前、そこから帰るまでの約7時間、たっぷりと充電。100V電源の使用でしたが、約50km分の電気を補充でき、リーフに戻った時には3目盛ほどバッテリー表示が増えていました。これを見た時、不思議なくらい嬉しい気持ちになったのは、時間を有効に使えたからだと思います。この充電のおかげで、帰りはいろいろと寄り道をしながらも、余裕を持って帰宅する事ができました。

今後、充電の待ち時間を必要としない「ながら充電」できる充電スポットの拡充が、EV普及への足掛かりになるのではないでしょうか。ちょっとした補充ですので、普通充電で十分であり、接続ケーブルはユーザー自身が持参するので、設備的にも100Vのコンセントを設けるだけで済みます。

将来、バッテリーの容量が増え航続距離が伸びたとしても、走行距離分の充電時間は絶対に必要であり、根本的には特に変わりません。逆に、容量が増えると、自宅で夜間中にフル充電することが難しくなり、おのずと限界がでてきます。急速充電は早いのですが、バッテリーへのダメージがあり、あまり常用することはできませんし、設備が高価であり設置場所は限られます。

したがって、充電のための時間を減らす事が使い勝手の向上になると考えられ、これがEV普及への最大のポイントになりそうです。一般に、急速充電は航続距離の問題の解消にはなりますが、このような使い勝手の問題の解決にはほとんどなりません。最初の頃は珍しさもありいいのですが、慣れてくると、その待ち時間も気になり出すのが正直なところです。

急速充電スポットは十分とは言えなくても、とりあえず遠出できる数にはなってきており、ことの本質はこのスポットの数ではないことがだんだん分かってくると思います。絶対的な充電時間は短くできませんが、実質的にこの充電時間をなくす事は可能です。それは唯一、「ながら充電」の普及ではないでしょうか。 遊びながら、寝ながら、食べながらの間にEVへの充電ができると、充電を待つことはなくなり、時間的なムダが生じません。自宅で夜中に充電するのも、まさしくその一例になっています。それと同様のことが外出先で可能になれば、かなり充電時間の問題は解消されそうです。ホテル、旅館、ゴルフ場、レストラン、ショッピングモール、遊技場などで、手軽に充電できるようになれば、ひょっとしてEVが主流となる時代がくるかもしれません。

次回は、鎌倉へのドライブ旅行記です。

(AUTOCAR No.111 2012年6月26日発売号掲載)

リーフで初夏の鎌倉へ

鎌倉のこの時期は、紫陽花やバラがたいへん綺麗な季節となっており、鎌倉文学館、鶴岡八幡宮などに立ち寄る事にしました。平日であるにもかかわらず、観光客の数は多く、その人気ぶりには驚きです。甲府からは約150km、リーフでは初めての長距離ドライブとなりました。

EVで出掛ける場合、充電の事前計画は大切です。予定した充電設備が何らかの理由で利用できない場合も考慮し、30〜50km間隔で充電スポットをチェックします。また、前日には立ち寄るつもりの充電スポットの運用確認も必須となります。それと東名高速道のSAで充電する予定はありませんでしたが、念の為、充電時に必要な登録者カードを持って行くことにしました。

いよいよ出発、普段はバッテリーへのストレスを考慮し80%充電ですが、遠出する時は当然100%充電でのスタートとなります。まずは中央自動車道の相模湖ICで降り、相模原市の日産相模原清新店での急速充電となりました。山梨県には数えるほどしかない充電スポットも、神奈川県に入ったとたん、画面いっぱいに多数表示され、まさにEV天国です。急速充電だけでも10km位の間隔であり、理由は良く分かりませんが、すごい地域間格差です。ちなみに、この日産相模原清新店は国道16号線沿いにあり、横浜・鎌倉方面に行く人で、平日でも3〜5車もの利用がある重要な充電拠点になっています。

宿泊は、七里ヶ浜海岸沿いにある鎌倉プリンスホテル。チェックイン後、ホテルの方にリーフへの充電をお願いしたところ、たいへん積極的に協力して頂けることになりました。夜7時頃には100V充電を開始でき、30%程残っていたバッテリーは、チェックアウトした翌朝10時には90%近くまでになっていました。電気代もホテルのご好意から無料にして頂き、大満足。宿泊中の「ながら充電」の魅力を強く感じ、早く常設スポットとなることを、参拝した鶴岡八幡宮で祈願しておきました。

帰りは、東名高速道路御殿場IC近くの日産御殿場萩原店で急速充電を20分程するだけで、甲府へ帰ることができました。この日産御殿場萩原店の充電設備は、この2月に設置されたばかりのスリムタイプの最新型でした。このように、今年は多くの充電スポットが増えてきており、たいへん嬉しい気持ちになります。

帰宅時で約3割の電気は残っていました。結局、自宅での70%分の電気代だけで約300kmを走った事になり、電費は夜間料金で150円位しか掛からなかったことになります。ただ、ホテルでのご好意があったことを忘れてはいけませんね。

リーフでの鎌倉へのドライブ旅行は、車内の静かさとその加速性能により、たいへん快適であったことは確かです。しかし、その一方で常にバッテリーの電気残量を考えながら運転する必要があり、これをどう捉えるかは難しいところです。一般的には煩わしいと感じる人の方が多いのではないか、と思う今日この頃です。鎌倉のホテルでも、充電の用意をしている時、責任者の方が「まだガソリン車の方が良さそうですね」と言った時の同情的な表情を見逃しませんでした。

次回は「リーフで航続200kmに挑戦!」です。

(AUTOCAR No.112 2012年7月26日発売号掲載)

リーフで航続距離200kmに挑戦!

リーフ購入後「一度の充電で、どのくらい走りますか?」と言う質問を多く受けます。この事がリーフに対する一番の興味のようです。そこで、リーフのカタログ値である走行可能距離200kmにチャレンジしてみました。

2011年12月のリーフ納車から半年以上が経ち、エコ運転の方法も習熟。また陽気が良くなるにつれて、電費も日ごとに数値が上がってきている感じです。この時期を利用して、山梨の甲府市から静岡の富士宮市まで、一般国道を走り試してみることにしました。

まずは、前日に自宅で夜間の100%充電を行い、翌朝出発です。6月下旬でしたが、比較的涼しい日で、エアコンは全く使用しないで大丈夫。運転は当然「ECO」モードを選びますが、一般道なので特に問題ありません。山梨から静岡への国道52号線は富士川沿いにあり、比較的平坦でEV向きの道といえます。帰りの経路は複数考えておき、バッテリーの残量を見ながら選択することにしました。

その結果、甲府から富士宮の往復で、走行距離約190kmを達成。目標の200kmには少し届きませんでしたが、とても満足できる良い結果となりました。まだバッテリーには多少電気は残っており、少し無理をすればカタログ値の200kmを走れそうな感じでした。一般道で普通の運転をしてスペックに近い航続距離が可能と言うのは、ちょっと驚きです。

リーフの日々の使用状況は、日産のデータ・システムで逐次蓄積されています。右上に掲載したサンプル画面は、この航続距離190kmを達成した日のパソコン表示の一部です。

ちなみに、この日の電費は9.5km/kWh。1日の平均電費としては、今までで最も良い結果となっていました。また走行距離を平均電費で割った電力消費量は20kWh、しかしリーフのバッテリー容量は24kWh。この差について念のためメーカーに確認しましたが、バッテリーに残量もあり、これは妥当な数値であるとの回答でした。

リーフのバッテリー性能の低下は5年の使用で約80%となっています。今回と同じ試走を毎年することによって、バッテリーの劣化状態を確認できそうです。

しかし、冬の暖房を使う時期になると、状況は一変。前述したシステムで、真冬のデータを見ると、電費が4.0km/kWhの日があります。これだと100%充電でも航続距離は約80km。まして普段の80%充電だと、これよりさらに少なくなり、たいへん厳しい状況となります。

冬は乗る前に、スマホなどから暖房を入れる指示ができ、とても便利。でも、これがかなり電気を使っているようです。走り出してからも暖房で消費する電気は少なくなく、これも辛いものとなっています。EVにとって、この暖房の問題は大きいものです。リーフよりバッテリー容量の少ないEVでは、さらに大きな課題となります。今後のEVの普及には、効率の良い暖房システムの開発が必須となりそうです。

リーフには寒冷地仕様もあり、それを検討するのも良し。また、リーフ購入後、クルマの中で初めて膝掛けを使いましたが、効果は絶大。EVの節電対策として、とてもお勧めです。次回は、夏場のリーフについてお届けします。

(AUTOCAR No.113 2012年8月25日発売号掲載)

リーフで夏の蓼科高原を快走!!

長野県の蓼科は、別荘も多く、有名な避暑地となっています。広い高原や森林などがあり、暑さの厳しい甲府盆地から、涼しさを求めてリーフで出かけることにしました。

蓼科の車山高原から霧ヶ峰高原にかけては、標高1500mを超える高地で、とても爽やかです。EVは環境対応車であると言われていますが、この素晴らしい自然の中では、その特徴をさらに強く認識させられます。また排気ガスを出さず、勾配を登る時でも全く変わらぬ静寂性で走る様は、まさしくEVの真骨頂を魅せつけられる感じです。

道路は綺麗に整備されており、リーフによるこのような高原の中の走行は、感動そのもの。環境保護に役立っている満足感も、十分に味わうことができました。

また、霧ヶ峰にある道の駅では、多くの観光客がおり、「これは電気だけで動くクルマだ」、「意外と大きいな」、「今度誰々さんが買うクルマだ」とか、いろいろと興味深そうな人がいたのにはちょっと驚きでした。

この蓼科地区の中には、まだ充電スポットはなく、茅野市内にある松本日産の諏訪店が一番近くとなります。この諏訪店も今年できたばかりで、この蓼科に向かう、多くのEVユーザーが行き帰りに利用しているようです。急速充電設備は店の入り口にあり、今後の24時間対応を見据えた場所に設置されていました。

長野県には、環境対策でマイカー規制している高地がありますが、EVでの乗り入れも駄目なようです。このような地域でEVを規制対象から外してもらえたら、EVの普及にも寄与しそうですが、とても残念ですね。

今回の蓼科ドライブは、中央自動車道を含め2日間で約250km。白樺湖から下った後、三井の森方面への上り坂で、電費表示の不具合がありました。瞬間電費が最大値の10km/kWhに固まり、登りなのに平均電費も増加。リーフを停止させ、再起動させたら正常に戻りました。まるでパソコンみたいです。後日メーカーに報告しましたが、再現性がないので、しばらく様子を見ることになりました。

夏のEVライフはどうなのか? 最も特徴的だったのは、車体に高熱を出すものがないので、クルマ全体が熱くなりません。エンジン本体やマフラーがないので、車内の温度上昇は注ぐ太陽光だけとなり、車内が一度冷えると、その後のクーラーの効きはとても良くなります。また、リーフから降りる時でも、車体の下から吹き上げてくる熱風はなく、たいへん助かります。

冬の時期のリーフは暖房に電気を多く使い、なかなか厳しくなりますが、夏はそれほどではありません。車内が冷えた後は、冷房であまり電気を消費しないのと、乗る前エアコンを使わないのが大きい。それと窓を開ければすむ時もあり、EVライフは、寒冷地より暖かな地域に向いている感じです。

このように、リーフと過ごした今年の夏は、高原の爽やかドライブと、発熱源を持たない涼しい車体による日常とで、とても満足できる快適なものとなりました。

次回は、リーフで富士山5合目に登る予定です。はたしてバッテリーの電気は足りるのか?

(AUTOCAR No.114 2012年9月26日発売号掲載)

リーフで富士山5合目に登る!!

夏の終りに、リーフで標高約2300mの富士山5合目に登ることになりました。EVにとって登り勾配はたいへん厳しく、みるみるバッテリーの電気は減っていきます。はたして電気は大丈夫か? 

まずは事前に必要な電気量をこれまでの経験から試算しました。ふもとの富士河口湖町から富士山5合目の駐車場までは約30km。標高差は約1500mあり、平地走行に換算すると、上りだけで約105km走ることとほぼ同じになります。これなら5合目まで到達できそうです。

いよいよ当日、富士河口湖町で念のため100%充電を行い、富士スバルラインへ向かいました。気候は暑くなく、エアコンはなし。3合目あたりから、勾配は厳しくなっていきますが、さすがに力強く登っていきます。5合目手前では、駐車場に入るクルマで渋滞しており、約1時間半後にやっと到着。ここまでの平均電費は3.0km/kWh、使用した電気量は約10Kwhで、予想より少ない結果でした。

帰りの下りは、ほぼ充電状態のまま走り続け、往復での走行距離は約61km、平均電費は5.7km/kWhとなりました。また、ふもとに降りた時のバッテリー残量は、下りの回生充電により、約3.0kWh程度増えていました。このように富士山5合目までは、リーフよりバッテリー容量の少ないEVでも心配なく登れそうです。

EVライフにとって最も大切なのは、どのような方法で充電を行うかにあります。本誌8月号では「ながら充電」の重要性を指摘しています。リーフでこの「ながら充電」を行う場合、屋外型の100V汎用コンセントの使用でも、ほとんど問題なく充電できています。リーフの100V充電時の定格電流は11.2Aであり、15Aの汎用コンセントでも可能なように考慮されています。しかし、リーフの取扱説明書では、充電用の専用コンセントを必ず使用するように記載されており、汎用コンセントでの充電はメーカーサポートを受ける事はできません。全てユーザー自身の判断で行うことになります。充電が途中で止まったり、電源ブレーカーがOFFになる可能性があるので、十分に注意する必要はあります。しかし、汎用コンセントの利用は、充電時間はかかりますが、多くの場所で手軽にでき、とても便利です。建屋が違法建築でもない限り、大きな問題はないと思います。

ちなみに、この夏にトヨタ車体から発売された超小型EVコムスでは、100Vの汎用コンセントによる充電(定格電流9.5A)を前提としています。それに伴い、取扱説明書には多くの注意事項が記述されていました。したがって、充電時に、その記述事項をしっかり守り、注意して行えば大丈夫です。

このようにメーカーによって対応が異なるのは、製品コンセプトだけでなく、ユーザーに対する基本姿勢の違いもありそうです。今後のEVの普及には、ユーザー視点にたったメーカーサポートが必須ではないでしょうか。

尚、本誌5月号に、「3相200V」の記述がありますが、これは表記上の誤りで、正しくは「3線式200V」です。また、オール電化の普及とは関係がありません。

次回は、リーフ購入1年目の感想です。

(AUTOCAR No.115 2012年10月26日発売号掲載)

リーフは1年たっても楽しいクルマ!!

紅葉を観たく、初秋の箱根にリーフで出かけました。箱根は神奈川県であり、充電の心配は全くありません。この秋、山中湖地区にも急速充電スポットができ、甲府方面から行く場合とても安心です。それと立ち寄った箱根町役場には、2台もの急速充電設備があり、さすがEV天国です。芦ノ湖周辺をドライブしましたが、このような自然環境にリーフはとてもマッチし、爽快な気分を味わう事ができました。

リーフに乗り始めて、もうすぐ丸1年になりますが、その楽しさは不思議なくらい今も変わりません。それよりもバッテリー電気の取扱いに習熟するにつれて、楽しさも増す感じです。最初の頃は、確かにまごつくことも多くありました。しかし、今はだいぶ余裕持って乗ることができています。筆者は、18歳でクルマに乗り始め、リーフで7台目ですが、このように1年たっても楽しさが続くというのは驚きです。これがEVの魅力なのでしょうか?

特に感じるのは、リーフに乗った時、日常の気分がリフレッシュされることです。また、電気代を気にしなくても良いので、行動範囲がとても自由に広くなりました。それと、サスペンションと座席が硬めになっているため疲れにくく、特に腰痛持ちの人からはいたく好評です。

楽しさをもたらしている理由のひとつに、車内の静寂性もあります。筆者はオーディオ関連を趣味としており、クルマの中で音楽を聴くことは大きな楽しみです。リーフ車内では、なぜかポップス調の曲よりバラードの方が良く合っています。特にいい感じなのは、徳永英明の「バラードベスト」と島谷ひとみの「男歌」。理由は良く分からないのですが、きっとクルマの雰囲気がそうさせるのだと思います。音質も良く、音の小さいところもしっかりと聴こえ、ガソリン車ではとても想像できないようなリスニングルームになっています。ただし、このリーフは、購入時にオプションで用意されているグレードアップしたスピーカーを組み込んであります。

また、標準装備されている地デジ放送の感度は驚くほど良く、液晶パネルの映像もたいへん綺麗です。しかし、せっかくのAV信号用の外部入力が、映像なしの音声のみなのは理解しがたく、大きな不満点です。

EVの売りは、何といってもその走行性能にあります。静寂性、燃費、環境も良いのですが、人に感動を与えるものとして、低速から高速にいたる、滑らかな加速性能が最大の魅力ではないでしょうか。ガソリン車には決してないものですが、まだまだ多くの人に知られていないように感じます。一部のクルマ好きの人だけではなく、普通の人がEVを購入するためには、この感動を何とかして伝える必要がありそうです。

リーフは最新技術を搭載しており、次世代に向けた素晴らしいクルマに出来上がっています。決して安いクルマではありませんが、1年乗った感想としては、そのコストパフォーマンスはとても高いと思います。特にクルマ社会の日常では、たいへん魅力的であり、多くの人にその良さを早く理解してもらえたらと思います。

次回は、充電スポットについてのリーフ購入1年目の感想です。

(AUTOCAR No.116 2012年11月25日発売号掲載)

高速自動車道のSAに充電スポットを!!

東京の新宿までは、甲府からは約125kmあり、リーフで初めて東京方面へ行きました。行きは自宅で100%充電できるのと、勾配は下りなので、都心まで行くのは心配なし。快晴だったので、中央自動車道をエアコンなしで走り、着いた時で約30km走行分の電気が残っていました。

西新宿では、有料駐車場にある急速充電設備を利用。駐車料金だけで良く、特に電気代の支払いはありません。このほか芝のザ・プリンスタワーにも充電設備があり、都心にはこのような便利な充電スポットが多くありそうです。

帰りは、相模湖IC近くの藤野総合事務所で充電。ここは2012年5月にできた充電スポットで、平日のみ利用できます。談合坂SAにまだ充電設備がないので、どうしても一旦高速道路を降りる必要があります。

EVユーザー向けに“COCO充電”というコミュニティサイトがあります。筆者も登録して利用しています。この夏に「ここに充電スポット!」の総選挙があり、高速道路のSA編では、中央自動車道の談合坂SAが全国で1位になりました。ここへの充電設備の設置を期待しているユーザーがいかに多いかが分かります。

リーフ購入から約1年が経ちました。この1年間、驚くほど多くの急速充電スポットができ、とても利便性が高まりました。その結果、今はリーフでほとんどの場所に行くことができます。自宅での夜間充電、ディーラーや公共施設での無料の急速充電、ホテル・旅館での“ながら充電”の利用でほとんど問題ありませんでした。ただ、高速道路はどうしてもICから一旦降りる覚悟が必要です。EVの販売は低迷しています。その大きな理由のひとつは、高速道路のSAへの充電設備の設置が遅れていることにもありそうです。EVは都市内移動に使うクルマと言われますが、リーフについては、かなりの長距離にも利用されています。遠出の時、高速道路を利用することが多いのでとても重要です。今後本格的にEVを普及させるには、全国の高速道路の全てのSAへの急速充電設備の設置が必須と言っても過言ではないと思います。

それと既に気になっているのは、これからEVの台数が増えると、人気の充電スポットに待ち行列ができることです。まだ先のことかもしれませんが、充電時間はどうしてもある程度必要であり、悩ましい問題になりそうです。

充電スポットは、購入前の不安をなくすには、多いほどその効果は大きいのは当然です。しかしながら、最近コンビニやガソリンスタンドでの有料の充電設備の設置が進んでいますが、地方都市では誰が使うか疑問です。普段は自宅で充電するので、利用する必要はありません。観光客用でしたら、今あるディーラーと公共施設の充電設備で、ことたりている感じです。

また、リーフのバッテリー容量も多いに越したことはありませんが、今の容量でも特に問題を感じません。試乗車やレンタカーなどの一時的な利用では、バッテリー残量が気になり、電欠不安を生じます。しかし、しばらく乗って慣れてくると、ほとんどなくなります。次回はEVバッテリーの家庭電源への活用をお届けします。

(AUTOCAR No.117 2012年12月26日発売号掲載)

EVバッテリーの家庭電源への活用!!

山梨県には20を超えるゴルフ場があります。昨年の秋に、県内8箇所のゴルフ場に普通充電設備が設置され、ラウンド中の“ながら充電”ができるようになりました。この中のヴィンテージGCは甲府から約30kmの北杜市明野町にあります。専用コンセントはクラブ入口横の壁にあり、200V充電なのでラウンド中の100%充電も十分可能です。筆者が最初だったようで、ゴルフ場の担当者ももの珍しそうに充電中のリーフの写真を撮っていました。このようなゴルフ場への設備設置が全国で進んでおり、ゴルフ好きのEVユーザーには、とても嬉しい状況です。

リーフ購入後、大きな災害や計画停電などはありませんでした。しかし、リーフのリチウムバッテリーの家庭電源への活用はたいへん魅力的で、なかなか面白いと感じています。EVのバッテリーの電気容量はとても大きく、長時間の連続利用が可能です。

日産からは、家庭の電源としてリーフのバッテリーを活用する接続装置が発売されました。予想されていた価格より安く、100V・60Aもの出力が可能で、災害等の緊急時などに活躍しそうです。しかし、ピークシフトとしての利用では、リーフを昼間使えなくなり、これができるユーザーは限られそうです。また、倍速充電も、今の最大8時間充電でも問題なく、必要性を感じません。それと設置には、それなりのスペースが必要で、そもそも筆者の自宅では設置できません。また、太陽光発電設備と併設すると、電気の買い取り価格が下がる問題もあり、なかなか導入に至らない感じです。

もし災害時の対応でしたら、三菱から発売されているi-MiEV用の製品電源供給装置の方が価格も安く、実用性が高そうです。急速充電用ポートに接続し、出力電力量は100V・15A。アウトドアレジャーや業務などに利用でき、機動性のあるのが魅力的です。リーフに使えるならと問い合わせてみましたが、i-MiEV専用だと言う回答で断念しました。

また昨年秋に発売されたマツダのデミオEVは、車体本体にAC100V・15Aのコンセントをオプションで取り付けられるのには、ちょっと驚きました。手軽に移動電源車になり、EVにも充電できます。しかし限定販売だったのが、少し残念でした。これからのEVは、デミオのようにAC100Vのコンセントが本体装着になりそうです。外部の後付けだったものが本体内蔵になっていくのは、まさにパソコンと同じです。

尚、筆者はリーフの電装用12Vバッテリーに市販のインバーターを接続し、AC100Vを使用できるようにしました。リーフを走行可能状態にしておくと、リチウムバッテリーから電気が供給されます。400Wの機器なら、満充電から20時間程度は騒音のない状態で使用できます。また、屋内へ送るAC100V用の配線も必要となります。これについては、充電ステーションの工事の時に、配管の中に一緒に通線してあります。

EVはクルマそのものの魅力もありますが、このようなことに興味、もしくは必要性がある人にもぜひお勧めです。次回は、リーフのIT活用と新型リーフの試乗報告です。

(AUTOCAR No.118 2013年1月26日発売号掲載)

1年間乗って分かったリーフの魅力

次世代のクルマを象徴するリーフによってもたらされたEVライフは、1年経ってもその快適さは日々増しています。EV特有の加速感と静寂性を日常的に体感する生活は、不思議なくらい爽快。試乗などの短期間の利用では十分に分からない、とても心地よいものとなっています。それを支えているのは、リーフに多く盛り込まれた最新技術ではないでしょうか。

最も象徴的なのが、自動車クラウドによる便利機能。今やIT業界はクラウド時代を迎えていますが、EVでもそれらが活用されています。

それに対応するために、リーフはコネクティッド・ビークルになっています。つまりDoCoMoの通信網を介してインターネットと接続されており、ネット端末のひとつになっていることです。将来的にはテザリングも技術的には可能で、リーフの車内でWi-Fi環境も容易に実現できます。これにより、日常的には、パソコンやスマホ・携帯などと繋げることができ、エアコンを乗る前にオンできるのはとても便利です。またバッテリーの充電も同様に開始させることができます。しかし、なぜか充電を停止させることはできないのは、理由がよく分かりません。

また、走行実績の管理がされており、日々の電費だけでなく、回生充電量も分かるのには驚きです。リーフ内部の発電量を計測し、ネットを介して日産のクラウドシステムに逐次送っていることになります。まさしく、リーフは巨大な走るスマホのようです。

年明けに、東京ビックサイトで開催された第1回「クルマのITソリューション展」に、甲府からリーフで行きました。クルマのいろいろなITの活用事例が展示されており、今後ますます新しいシステムが開発されていきそうです。ただ、このようなリーフの自動車クラウドは素晴らしいのですが、これによってEVの利便性の悪さを解消するのはなかなか難しい感じです。展示会全体は、「オートモーティブワールド13」で、各社から新しいEVもいろいろと出展されていました。

展示会の後は、近くのホテル日航東京に宿泊。宿泊中は、地下の駐車場で“ながら充電”を行いました。翌日は日産の中央晴海店で、昨年末マイナーチェンジした新型リーフを試乗することができました。試乗したリーフは最も価格の高いグレードGで、ボディはラディアントレッドという、とても鮮やかな色です。

試乗してすぐに分かるのが新たに追加された回生ブレーキモードの存在です。従来車ではエコモードを使って回生ブレーキを使用しますが、効きが少し弱く、この新型の回生ブレーキモードはとても有効です。ガソリン車でギアをセカンドに落とした時のエンジンブレーキとちょうど同じような効き具合でした。これにより、今までより効率的でスポーティな運転が可能となり、楽しさがより一層増しそうです。

日常的な面で大きいのは、ヒートポンプ方式の暖房ではないでしょうか。今までの電熱温水ヒーター方式より電力消費量が大幅に少なくなっています。冬場の暖房が問題となっており、とても効果的な改良です。実際に使用した感じでは、熱風が出るまでの時間も早く、その風力も強くなっていると感じられました。

スペック上で最も改善されたのは、航続距離が長くなったことです。車体を80kgも軽くすることができており、従来の200kmから228kmに延びています。加えて、バッテリーの電気残量が、コンビネーション・メーターの中央に数字でパーセント表示されるようになっていました。従来車では、12段階のバー表示だけで、分かりづらかったのが改善されています。

この連載を読まれた読者から、「リーフに乗っていて、もっと困ったことはありませんか?」と言う質問を受けました。確かに、電気が残り少なくなり予定していた所に行けなかったり、充電待ちで時間を要したためドライブ計画を変更せざるを得なかったりしたことはありました。

しかしこの1年間、走行できなくなるようなクルマ本体のトラブルは、ありませんでした。リーフの前に約15年乗っていたクレスタでは、朝エンジンがかからないことが何度かありました。リーフでは、真冬であってもそのような心配は全くなく、とても安心です。また、冬でも暖気運転なしで、すぐに発進できるのもたいへん魅力的で、不思議な感じすらします。

しかし、冬季の夜間などは暖房に加え、気温の低下と共に使用できるバッテリー容量が減るので注意が必要です。

読者の皆さんの中にもEVの購入を考えられている方もいると思います。航続距離の問題は、バッテリーなどのクルマの改良と充電スポットの充実で、徐々に解消していくでしょう。しかしながら、充電の手間と時間の問題については十分な認識が不可欠です。人気の充電スポットでは、既に休日の待ち行列が始まっています。

筆者のリーフに1年乗った感想は、「遠出の時少し頑張れば、日常はとても快適」となり、購入時に予想した通りでした。インターネット上のサイトには、多くのユーザーの声が掲載されています。それらを読むと、リーフを購入して後悔しているユーザーはいないことがよく分かります。寒いクルマだとか、充電待ちしたとか言いながら、不思議なくらい皆さんEVライフを楽しんでいます。きっとEVの魅力に負けたのでしょう。

リーフは、今回のマイナーチェンジで分かるように、まだまだ発展途上にあります。一般の人がEVの購入を躊躇する一番の理由は、電欠不安です。しかし新型リーフでは、車体が軽くなっており、この分で発電用の小型のエンジンを搭載することも考えられます。さらにバッテリー容量を今より減らすことで、価格も同程度にできそうです。これがもし実現すると、リーフは多くの人にとって、とても実用的なクルマなると思います。

ちなみに、東京ビックサイトの展示会では、三菱から出展されたアウトランダーPHEVの注目度が高く、驚くほど多くの人が集まっていました。このような様子を見ていると、発電機能を搭載したレンジエクステンダーEVが今後のEVの主流になる予感を強く感じました。

リーフは今後もますます魅力的なクルマに進化していくことを期待でき、筆者もワクワクする気持ちでそれを待ちたいと思っています。しかし、補助金の縛りで6年間は買い替えできないことを忘れてはいけません。

(AUTOCAR No.119 2013年2月26日発売号掲載)

最新海外ニュース

 

初試乗

記事一覧

モーターショー

記事一覧

特別企画

記事一覧

クラブインデックス

記事一覧

長期使用報告

記事一覧

イベント・カレンダー

記事一覧

ギャラリー

記事一覧

新刊&バックナンバー

記事一覧