クルマ漬けの毎日から

2020.06.02

誕生50周年を迎えた「シトロエンGS」。独特の空力ボディとハイドロニューマティックサスペンションを備えた個性あふれるこのクルマを、私たちが路上で見る可能性は、残念ながらゼロに近いようです。その原因は、錆です。

【クロプリー編集長コラム】シトロエンGSよ、永遠に 誕生50周年に想う

もくじ

50年前の経営陣へ 私の憤り
時代の象徴 GS

translation:Kaoru Kojima(小島 薫)

50年前の経営陣へ 私の憤り

仕事柄、自動車会社のトップの人たちにインタビューをすることがある。

今年のはじめ、その手の取材を終えて帰宅した時、カミさんが私にこう言った。「今日は、いつものあの決まり文句は言わないでね。『インタビューした○○さんは、本当にいい人だった』っていうあのひと言は」

1970年に誕生したシトロエンGS。デビュー当時は1015ccのフラット4を搭載。

カミさんは、私は業界のリーダーたちに甘いと思っているのだ。実際、そうかもしれない。

しかし昨日、姉妹誌の『CLASSIC&SPORTS CAR』に掲載するシトロエンGSの原稿を書いていた時、1970年代と80年代のシトロエンの経営陣に対して、私は強い憤りを感じた。

時代の象徴 GS

いったいなぜ、シトロエンはこの宝石のように美しいGSを、“錆びやすい鉄板”で製造してしまったのか?

かつての経営陣が錆問題を克服できなかったために、いまやGSは、事実上この世から消えてしまったのだ。

GSの50周年となる今年、「シトロエン・ヘリテージ」チームとフランスの著名インテリア・デザイナー「トリスタン・アウエル」がレストモッドを手掛け、話題になった。Credit photo Amaury Laparra

シトロエンGSと同時代に、イギリスのメーカーが誕生させたいくつかのユニークなモデルについても、同じことがいえる。

GSのように手頃な価格でありながら、傑出した個性を持つクルマは、その時代を象徴する優れたモデルとして、本来ならば今なお存在しているべきである。

だが現実には、その姿を見かけることはない。実に残念だ。

 
 

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