自動車専門誌が選ぶ、21世紀を代表するクルマ 25選(後編) 2011~2025年
公開 : 2025.10.26 11:45
激動の2000年代。自動車業界にはさまざまな出来事がありましたが、多大な影響力を持つクルマも数多く登場しました。今回は過去25年間を振り返り、各年を象徴するメモリアルなモデルを1台ずつ紹介します。
もくじ
ー2011年:レンジローバー・イヴォーク
ー2012年:マクラーレンP1
ー2013年:フォルクスワーゲン・ゴルフ
ー2014年:三菱アウトランダーPHEV
ー2015年:ベントレー・ベンテイガ
ー2016年:セアト・アテカ
ー2017年:テスラ・モデル3
ー2018年:ジャガーIペイス
ー2019年:BMW 3シリーズ
ー2020年:ランドローバー・ディフェンダー
ー2021年:キアEV6
ー2022年:MG 4 EV
ー2023年:ダチア・ダスター
ー2024年:ヒョンデ・アイオニック5 N
ー2025年:ルノー5 Eテック
2011年:レンジローバー・イヴォーク
レンジローバー・イヴォークの登場は、ジャガー・ランドローバーにとって大きな転換点となった。初期のプレミアムコンパクトSUVの1つとして、まったく新しい顧客層にリーチし、驚異的な成功を収めることができた。
イヴォークはまもなく、ランドローバー全体の販売の3分の1を占めるまでに成長。高級車であることに変わりはないが、市場に広く浸透し、街中でも数多く見かける。

単価ベースの収益性で見れば、フラッグシップのレンジローバーの方がはるかに高いが、イヴォークはジャガー・ランドローバーの地位を一段高めることに成功した。後に新型ディフェンダーが登場するまで、どのモデルも成し得なかったことだ。
イヴォークの影響力の大きさを示す証拠として、コンバーチブル仕様を追加したことが挙げられる。結局は短命に終わったが、コンバーチブルが導入に値すると判断されたこと自体が、当時のイヴォークの重要性を物語っている。
2012年:マクラーレンP1
ロン・デニス氏が2012年のパリ・モーターショーでP1を発表した時、わたし達は未来の一端を目の当たりにすることになった。しかし、このフラッグシップスーパーカー(マクラーレンにとってF1以来)が将来のスーパーカーの在り方をどれほど書き換えることになるか、想像できた人はどれだけいただろうか。
ターボチャージャー、カーボンファイバー製モノコック、ハイブリッド化、アクティブエアロダイナミクス――P1はこれらすべてを備え、サメやマンタといった海洋生物から着想を得た「バイオミミクリー」なボディを纏っている。先見の明に満ちた製品であり、今日でもなお新鮮に感じられる。

P1が卓越している点は、驚異的なハードウェアや息をのむようなスピードではなく、主観的なものだ。マクラーレンは持てる限りの技術を投じ、複雑化したにもかかわらず、運転する喜びは失われていない。活気と遊び心にあふれ、マクラーレンは高性能だが退屈だという当時の評判を打ち破った。
もちろん、新鋭マクラーレン・オートモーティブの真の力を示したという点も忘れてはいけない。フェラーリにはラ フェラーリが、ポルシェには918スパイダーがあったが、マクラーレンも対抗馬を用意していた。P1こそがマクラーレンを飛躍させたクルマだ。
2013年:フォルクスワーゲン・ゴルフ
セカンドアルバムを成功させるのも大変だが、サードアルバムを完璧に仕上げるのはさらに難しい。そして4作目、5作目も頭を悩ませる。だが7作目となると? 大ヒットしたファーストアルバムのように、ジャンルを形作るような画期的な作品になるとは到底思えない。
だからこそ、7代目フォルクスワーゲン・ゴルフが、半世紀以上にわたる系譜の頂点として誇り高く君臨しているのは、率直に言って驚くべきことである。

素材の質、洗練度、運動性能、燃費において前モデルから飛躍的な進歩を遂げたゴルフ7は、高級感と実用性を兼ね備え、「手頃な価格のファミリーカーには魅力がない」という通念を覆す存在となった。
そしてこの世代のGTI、特にフェイスリフト後のMk7.5バージョンは、おそらくスポーツ性能を追求したフォルクスワーゲンの真骨頂と言えるだろう。価格、手軽に得られる運転の喜び、日常での実用性という、ほぼ不可能とも言えるバランスを巧みに実現し、近年においてホットハッチの理想形に最も近づいたクルマである。




































