【斎藤聡が深堀り】ブリヂストン・アレンザLX100 プレミアムコンフォートSUVタイヤ なめらかな走りと優れた静粛性

公開 : 2025.03.07 17:00

なめらかな転がり感と文句なしの静粛性

ところでSUV専用設計とはどのような設計なのだろうか。

アレンザはオンロード走行を想定していながら、高い重心や悪路で求められる耐久性に対応し、サイドウォールが補強されたSUV用タイヤの骨格をベースとしている。

一般的な乗用車とSUVの大きな違いは、重心の高さにある。SUVは重心が高いため、走行時は一輪に荷重が集中しやすく、ふらつきやすい。そのためSUV用タイヤは、サイド部に補強が施されている。

また、乗用車用タイヤはサイドウォールが比較的薄いので、尖った石などでカットしやすくオフロード走行には向かない。それらが、代用の効かない理由だ。

アレンザLX100は、こうした点に配慮したSUV用タイヤとしてのタフネス性を確保したうえで、静粛性・快適性に特化した設計となっているのが特徴だ。

重心の高さは、走行時の荷重を一輪に集中させ、ふらつきを発生させる原因となりうる。そのため、オンロード走行主体であっても、サイドウォールの剛性は必要だ。

今回、試乗車として用意したのは、フォルクスワーゲンのミドルクラスSUVであるティグアン。純正サイズである235/55R18のLX100を組み合わせ試乗した。

実際に試乗してまず感じたのは、軽々とした走り出しだ。タイヤグレーディングで転がり抵抗A、ウエットグリップcと、省燃費タイヤとしての要件を満たした転がり抵抗の少なさが効いているのだろう。

走り出してすぐに感じるのは、軽い転がり具合。転がり抵抗のグレードはAと高く、なめらかな走りだけでなく省燃費性にも貢献する。

それとともに、スルスルとなめらかにタイヤが転がっていく感触が心地よい。縦溝主体のデザインで太い横溝を持たないため、タイヤが平滑に転がってくれるのに加えて、トレッド面剛性やトレッドゴムの柔軟性などのチューニングによるものなのだろう。目地や小さな段差を踏んだときのショックの角が、上手に丸められている。

小さな段差などでのショックを完全に消すことは、タイヤだけではできないことだが、角を丸めれば快適性は高まる。LX100は、その辺りのチューニングが上手だ。

とくに街中のゴー&ストップでは、軽い走り出しとマイルドな巡航感、そして信号などで停止するときにアクセルから足を離すと、スーッと抵抗なくタイヤが転がっていく感覚がある。タイヤの転がり抵抗の小ささが表れる場面だが、これも心地よいと感じるところだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    斎藤聡

    1961年生まれ。学生時代に自動車雑誌アルバイト漬けの毎日を過ごしたのち、自動車雑誌編集部を経てモータージャーナリストとして独立。クルマを操ることの面白さを知り、以来研鑽の日々。守備範囲はEVから1000馬力オバーのチューニングカーまで。クルマを走らせるうちにタイヤの重要性を痛感。積極的にタイヤの試乗を行っている。その一方、某メーカー系ドライビングスクールインストラクターとしての経験は都合30年ほど。
  • 撮影

    中島仁菜

    Nina Nakajima

    幅広いジャンルを手がける広告制作会社のカメラマンとして広告やメディアの世界で経験を積み、その後フリーランスとして独立。被写体やジャンルを限定することなく活動し、特にアパレルや自動車関係に対しては、常に自分らしい目線、テイストを心がけて撮影に臨む。近年は企業ウェブサイトの撮影ディレクションにも携わるなど、新しい世界へも挑戦中。そんな、クリエイティブな活動に奔走しながらにして、毎晩の晩酌と、YouTubeでのラッコ鑑賞は活力を維持するために欠かせない。

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