[ABARTH 70周年]嶋田智之が、いま見つめるABARTH 595

1970年代の名車 オレンジ色の個性派 BMW CSi アルファ・ロメオ・モントリオール

2019.06.18

100字サマリー

遥かに安価に通称バットモービルのCSLの近似体験が可能なCSi。エキゾチックなスタイリングのアルファ・ロメオ・モントリオール。同じ1970年代に生まれ、派手なボディカラーをまとう2台ですが、その乗り味はメーカーの個性が濃く表れた、まったくの別物です。

もくじ

爽やかな国立公園に集った1970年代生まれの2台
プロトタイプのままのようなモントリオール
販売で苦戦したモントリオールと、好調だったCS
英国ではCSLよりCSiの方がレア
柔軟なエンジンに乗りやすいボディデザイン
表れたアルファ・ロメオとBMWの個性
2台を愛するオーナー、ガレス・ルイス
アルファ・ロメオ・モントリオールとBMW 3.0CSiのスペック

爽やかな国立公園に集った1970年代生まれの2台

とても気持ちのいい爽やかな晴天の6月に、小さく希少なエキゾチックカーが2台、英国西部の雄大な自然に包まれたブレコン・ビーコンズ国立公園に集った。こんな素晴らしい状況を、仕事と呼べるだろうか。かつて、わたしの仕事はお給料がもらえる趣味の延長だ、と考えたことを思い出した。正直、本当の仕事だとはなかなかいいにくい。

素晴らしい大自然に伸びる素晴らしい道路。それに素晴らしいクルマ。エキゾチックな2台のオーナー、ガレス・ルイスの寛大な考え。あまりの夢心地に、厄介な地元のひとと出くわしたことや、興味津々の羊のおかげで取材用のデジタル・ボイスレコーダーを無くしたことも、最後には気にならなくなるほどだった。

取材撮影中、銀色のプジョー309が静かに道路に出てきて様子を伺っていることに気付いた。その時点で、このクルマが取材に気付いて追いかけてきているのではと感じ始めた。しばらくして、わたしがアルファ・ロメオに乗ってBMWを追いかけていると、突然眼の前のブレーキランプが点滅し、視界は真っ赤に染まった。たまらず先行車のミシュランXWXはロックし白煙をあげるが、きれいに直進して止まった。

わたしもとっさにブレーキペダルを蹴飛ばす。アルファ・ロメオ・モントリオールはBMWのリアバンパーから10cm手前で、辛うじて、無事に停止した。驚きと安堵の中で、ゴムの溶けた匂いに包まれた。アルファ・ロメオのブレーキ性能も悪くはないようだ。唯一の被害は、プジョーのリアバンパーに付いたひっかき傷。不用意なハンドブレーキでスリップしたようだった。

そんなハプニングに出会う前、モントリオールを運転することが好きになりはじめていた。エレガントで性能でも優れたBMWのクーペと比較すれば、劣る点も目に付いてしまうことは間違いない。パッケージングは良くないし、とても派手なエクステリア・デザインではある。しかしその割に運転が簡単で素直だし、不足ないほど速く走り、思いの外洗練されている。

 
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