標準3シリーズでは最もパワフル 新型 G20型 BMW 330e Mスポーツ 試乗

公開 : 2019.08.25 09:50  更新 : 2019.08.25 10:25

プラグイン・ハイブリッドを搭載しつつ、充分な機動力と洗練性を兼ね備え、BMWの3に期待できる内容を獲得した330e。PHEVカテゴリーでは最も高い訴求力備えているようです。ドイツ・ミュンヘンで評価しました。

バッテリー容量は12kWhへと増加

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

英国のクルマ好きの場合、同じモデルで内燃機関とハイブリッドとがラインナップされていたら、通常の内燃機関の方を選ぶはず。これは、コンパクトカーでもスーパーカーでも当てはまる。

ハイブリッド用バッテリーを搭載すればクルマは重くなり、慣性も大きくなるから、レスポンスが鈍くなる。車重が増えることでスプリングレートを上げる必要もでてくる。よって、走行パフォーマンスや洗練性、経済性とランニングコストや予算などのバランスを加味すると、運転を楽しみたい英国のドライバーなら、通常の内燃機関を選ぶ傾向が高いのだ。

BMW 330e
BMW 330e

では、新しいBMW 330eはどうだろう。BMWが3シリーズに与えた、まごうことなきプラグイン・ハイブリッドではある。だが先述のステレオタイプとは異なり、330eのハンドリングはとても印象的なものだった。

価格は3万7875ポンド(492万円)からで、今回試乗したMスポーツの場合は3万9075ポンド(507万円)となっている。価格としては4気筒ガソリンの330iとほぼ同じだが、加速力では静止状態から100km/hに到達する時間で0.2秒ほど遅い。プラグイン・ハイブリッドのメカニズムを搭載するぶん、同じエンジンの320iと比べて100kgも車重は重くなっている。

二酸化炭素の排出量はわずか39g/kmとなり、英国で社用車として利用する場合は税制面でも有利。先代F30型3シリーズ・プラグイン・ハイブリッドに搭載されていたバッテリー容量は7.6kWhだったが、G20型330eでは12kWhへと容量もアップした。EVとして走行可能な距離は、より厳しいWLTPテストの数字でも、40kmから65kmへと増えている。

標準3シリーズとしては最も強力なグレード

新しい330eは、電気モーターの力だけで走るEVモードでも、110km/hまでスピードを出すことが可能となった。2015年のF30型の場合は80km/hまでだったから、利便性も増したといえるだろう。だが走行スピードが速いほど、バッテリーの消耗も激しくなるけれど。

利便性の面での犠牲としては、330iから比較して100Lほど狭くなったラゲッジスペースがある。バッテリーを搭載し、燃料タンクの位置を変更したためで、容量は2シリーズよりも狭い375Lとなっている。

搭載されているエンジンは、基本的に320iと同じ最高出力183psの2.0L 4気筒ターボ・ガソリン。1660kgの車重を持っているとしても、これだけあればエンジンだけのパワーでも足りそうだ。

そこへ330eの場合、8速ステップトロニックATに電動モーターが内蔵されており、通常は68ps分をアシストしてくれる。さらにスポーツモードでは「エクストラブースト」機能が利用できるようになり、一時的に112psにまでモーター出力を高めることもできる。

エンジンとモーターとの出力を最大限に発揮させれば、システム総合での最高出力は293ps、最大トルクは42.7kg-mにも達する。余裕で330iを超えるスペックだ。すなわち、6気筒エンジンを搭載したM340i xドライブが登場するまで、標準の3シリーズとしては最も強力なグレードとなる。静止状態から100km/hまでの加速時間は6.0秒とされている。

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