M・ベンツEQC試乗 ベンツ初の市販EV、出来映えは? 価格/サイズ/内装を評価

公開 : 2019.11.19 19:40  更新 : 2021.10.11 13:51

メルセデス初の市販EV、EQCを日本で試乗。GLCとプラットフォームを共有しますが、ボンネットの下には専用のサブフレームを追加。どんな走りをするのでしょう?

どんなクルマ?

text:Hiromune Sano(佐野弘宗)
photo:Keisuke Maeda(前田恵介)
photo:Kazuhide Ueno(上野和秀)

EUが急進的な燃費・排ガス規制に突き進んでいることもあって、欧州メーカーはいち早く“電動化、待ったなし”の状況に追い込まれている。そんななかで、独ダイムラーが初めて手掛ける量産電気自動車(EV)がこれである。

ダイムラーといえば、約7年前に先代スマート・フォーツーのEVを国内でも販売したことがあるが、メルセデス・ブランドの市販EVが今回が初であり、さらに堂々と“量産”をうたうのが最大のキモだ。

メルセデス・ベンツEQC 400 4マティック
メルセデス・ベンツEQC 400 4マティック

日本での正式発表は今年7月で、まずは年内に限定55台の“EQCエディション1886”のみが先行上陸。今回の試乗車でもあるカタログモデルの“EQC400 4マティック”のデリバリーが始まるのは来年春の予定という。

EQCは人気のミドルサイズSUV、GLCクラスとプラットフォームと生産ラインを共用することで、本格的な量産体制を整えたことが大きな特徴である。

1080万円という絶対価格も最初はギョッとするが、兄弟関係にある内燃機関車となるGLCクラスの価格や“400”を標榜する動力性能を考えると、相対的には“そんなものか”と思えなくもない。たとえば、GLCクラスでいうと、AMGのGLC43 4マティックが948万円である。

EV版 これだけ違う

駆動方式は車名のとおり4WDとなるが、GLCクラスのそれ(=フロントにエンジンを縦置きする後輪駆動ベース4WD)とは当然のごとく別物。

EQCは前後それぞれにモーターを搭載。低負荷時にはフロントのみで駆動しながら状況に応じてリアを追加する制御といい、内燃機関でいうと“FFベース4WD”ともいえる駆動方式になっているのが面白い。

パワートレインのカバーを外した状態。専用のサブフレームでエレクトリック・ドライブ・モジュールを囲っている。
パワートレインのカバーを外した状態。専用のサブフレームでエレクトリック・ドライブ・モジュールを囲っている。

従来のエンジンルームに相当する空間にはフロント用モーターと同インバーターが、アルミパイプで組まれた堅牢そうなサブフレームに囲まれて搭載されている。

そのフレームの防御性能は素人目には少しばかり過剰にも思えるのも事実だが、そこには“自社初の本格量産EVに絶対にミソをつけるな”という技術者の執念もうかがえて、なんともエンスーなディテールである。

充電口は2か所あり、もともとの給油口の位置にあるのが日本のCHAdeMO対応の急速充電用、そしてリアバンパーに内蔵されるのが普通充電用である。

記事に関わった人々

  • 上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。
  • 佐野弘宗

    Hiromune Sano

    1968年生まれ。大学卒業後、ネコ・パブリッシング入社。カー・マガジン等で編集作業に携わるうちに3年遅れで入社してきた後藤比東至と運命的な出逢いを果たす。97年、2人でモンキープロダクションを設立するべく独立。現在はモータージャーナリストとして「週刊プレイボーイ」「AUTOCAR JAPAN」「○○のすべてシリーズ」他、多数の雑誌、ウェブ等で活躍中。
  • 前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)

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