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2019.05.19

新たな人生のスタート カルタ・ラリー ダチア・ダスターと傷痍軍人たちの挑戦

編集部より

世界にはいまだ戦火の収まらない場所があり、そんな場所で活動を行った結果、心と体に大きな傷を負ったひとびとがいます。今回はダチア・ダスターで、新たな人生のスタートに向け、モロッコで開催されたカルタ・ラリーへと挑戦した傷痍軍人たちのチームをご紹介します。

もくじ

土砂降りの雨 士気は高く
レースは手段 門戸を広く
素晴らしいキャンプ 難しい現実
さまざまなメンバー 突然のトラブル
逆境こそチャンス
心から欲するもの
番外編:もっともクレージーなマシンは?

土砂降りの雨 士気は高く

今年のカルタ・ラリーのオープニングステージを飾る荒涼としたブドゥニブの町は、サハラ砂漠の外れ、アルジェリアとの国境から16kmほどの距離にあるモロッコ東端に位置しているが、いまの天候は、とてもここがそんな地理的条件の場所にあるとは思えないだろう。

7日間、2000km以上に及ぶこの一風変わったラリーへの準備を進めている一団には、ダカールで活躍した三菱パジェロや、スペースフレームのバギー、さらにはモンスタートラックなども含まれているが、土砂降りの雨と強い風にひとびとは戸惑い、砂漠に広がるこの低木地はまるで、音楽フェスで有名なグラストンベリーのように泥にまみれている。

予想外の天候に見舞われたお陰で、現場はまるでこの鉛色の空のように重苦しい雰囲気だったが、あるチームだけが異彩を放っており、それは徹底的に改造されたラリーカーばかりのなかで、まるでショールームからそのままやってきたかのような3台のダチア・ダスターだけでなく、時おり冗談を言い合う以外、黙々と自分たちの仕事を進めている様子によるものだった。

「これがわれわれのやるべきことですから」と、肩をすくめながらスコット・ガースリーは話す。「基本的なトレーニングです」

フューチャー・テレインチームのメンバー14人全員が、現役かかつての軍人であり、彼の表現は決して大げさなものではない。

メンバーの多くが重い障害を負っており、そうでなくともPTSD(Post-Traumatic Stress Disorder:心的外傷後ストレス障害)といった、心理的なダメージに苦しんでいるが、文句や言い訳をするものは誰一人としていない。彼らは何カ月にもわたりこのラリーへの準備を進めて来たのであり、雨もそれを邪魔することなどできないのだ。

 
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