ミュージアム閉館 ポルシェ、VWがオークションに RMサザビース・タージ・マ・ガラージ

公開 : 2019.10.31 05:50  更新 : 2021.10.11 09:26

米国のタージ・マ・ガラージ・コレクションは、ポルシェとフォルクスワーゲンの膨大なコレクションを誇りましたが閉館に。収蔵品がオークションにかけられました。

ジョン・ディクソン氏のコレクション

text:Kazuhide Ueno(上野和秀)
photo:RM(Darin Schnabel、Corey Escobar)

ポルシェに魅せられたことから始ったタージ・マ・ガラージ・コレクションは、ポルシェとフォルクスワーゲンに関する膨大なコレクションが特徴。アメリカのオハイオ州デイトンに所在し、両メイクスのエンスージァストにとって聖地といえた。

しかし創始者であるジョン・ディクソン氏が逝去し、後継者がいなかったことからミュージアムを閉じることに。収蔵されていたコレクションがRMサザビース・オークションに出品されることになったのである。

カスタマイズされたポルシェ356とフォルクスワーゲンが並んだ。写真はポルシェ356Aをベースに製作されたデリバリーバン。
カスタマイズされたポルシェ356とフォルクスワーゲンが並んだ。写真はポルシェ356Aをベースに製作されたデリバリーバン。

オークションはタージ・マ・ガラージ・コレクションのミュージアム内で行われ、32台のポルシェとその始祖であるフォルクスワーゲンが並んだ。同じように注目しておきたいのが335点にも及ぶメモラビリアとパーツ。

故ジョン・ディクソン氏がポルシェから受けた感動をきっかけに集め始めたこともあり、カタログからオーナーズ・マニュアル、パーツリスト、ポスターなどの印刷物、モデルカー、バナー、エナメルサインなどが揃う。パーツ類も356と空冷フォルクスワーゲンのエンジンからホイール、シート、ステアリングホイール、ツールセット、エンブレムなど膨大な数が出品された。

最高額 356AカレラGTスピードスター

ここで車両は32台だけだったが、出品取下げされた1台を除いてすべてが落札されている。

それよりも膨大な数のパーツやメモラビリアのほとんどが落札され、最終的な落札率は97.6%とほぼ完売だった。

最高落札額は1957年ポルシェ356AカレラGTスピードスターが1億4904万円を記録。
最高落札額は1957年ポルシェ356AカレラGTスピードスターが1億4904万円を記録。

最高落札額は予想通りポルシェ・エンスージァストにとって究極の1台といえる1957年ポルシェ356AカレラGTスピードスターが人気を集め、356の4カムモデルとしては新記録となる1億4904万円で落札された。

以下1973年ポルシェ911カレラRS 2.7ツーリング(4450万円)、1997年ポルシェ993ターボ(3975万円)、1981年ポルシェ924カレラGTSクラブスポーツ(3856万円)、1967年ポルシェ911S(3618万円)と、人気のモデルがトップ5を占めた。

カスタム356も落札

このオークションで注目を集めたのがカスタマイズされたポルシェ356とフォルクスワーゲンたちだ。

なかでも存在感あふれる1953年ポルシェ356をストレッチしたリムジンは2238万円、ユニークな1958年ポルシェ356Aデリバリーバンは938万円で落札された。

1958年ポルシェ356Aデリバリーバン(938万円)
1958年ポルシェ356Aデリバリーバン(938万円)

フォルクスワーゲンのカスタムも人気を集め、1956年ビートル・アウトロー“デス”が436万円、1970年ビートル・ワイヤーアートカーは847万円、1971年ビートル“ジャングル・バグ”は206万円まで値を上げた。

記事に関わった人々

  • 上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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