【運動神経最高、かつ知的】ホンダ・シティ2代目(GA1/2型) F1の勢いの中で生まれた完成形

公開 : 2020.01.18 05:50  更新 : 2021.10.09 22:40

ホンダ・シティ2代目(GA1/2型)にスポットを当てます。タイリングを見ると、初代の弱点を踏まえた方向転換がはっきりと見て取れます。実用車としての能力の高さはもちろん、走りにも魅力が詰まっています。

初代の弱点を踏まえた2代目

photo:Koichi Shinohara(篠原晃一)

ホンダシティと言えば、多くの人が思い浮かべるのは、四角く背の高いボディを持った初代だろう。

カブリオレやターボ、さらにはインタークーラー付きのターボIIといったホンダらしいスポーティなラインナップも揃い、一世を風靡したからである。

背の高いトールボーイ・スタイルでハッチバック車の常識を打ち破った初代シティ。さらにルーフを高くしたハンハッタンルーフ仕様も用意された。
背の高いトールボーイ・スタイルでハッチバック車の常識を打ち破った初代シティ。さらにルーフを高くしたハンハッタンルーフ仕様も用意された。

だが今回スポットを当てるシティは2代目。ちなみに製造期間は初代が5年だったのに対し2代目は8年。

そこだけを切り取ると、成功したのは2代目の方ということ?

初代シティのデビューは1981年のこと。1983年にはホンダの第2期F1活動が始まるタイミングであり、初代シティはまさにこの勢いに乗ったヤンチャなクルマだった。

ターボIIによるワンメイクレース、シティブルドッグレースはF2の前座レースとして人気を集めたが、極端なワイドトレッド化によって転倒してしまうクルマも多かった。

初代シティの特徴でもあった背の高いスタイリングと運動性能の両立は難しかったのだ。

2代目のスタイリングを見ると、初代の弱点を踏まえた方向転換がはっきりと見て取れる。

初代より125mmも低められたボディは、コンパクトハッチであるにもかかわらず、ワイド&ローのすっきりとした、知性すら感じさせるシルエットを纏っていたのである。

16戦15勝時代の落とし子

2代目シティは1986年に登場している。前期型がGA1、ヘッドランプ間に透き通ったガーニッシュを配した後期型がGA2という型式を与えられている。

この2ドアハッチバック車の位置づけは、初代と同じくシビックの弟分というものだった。

ポップな色合いもよく似合う2代目シティ。ヘッドランプ間のグリルの部分までバンパーで覆っているのは前期型のGA1。ボディ側面のフラッシュサーフェスが美しい。
ポップな色合いもよく似合う2代目シティ。ヘッドランプ間のグリルの部分までバンパーで覆っているのは前期型のGA1。ボディ側面のフラッシュサーフェスが美しい。

サスペンションはフロントがストラット、リアがトーションビームという小型FF車の王道ともいえる形式を採用。ワイド&ローのすっきりとしたスタイリングは、実際の運動性能に大きな影響を与えていた。

横置きされた4気筒エンジンは新開発のものが採用されていた。前期型のGA1が搭載していたD12A型は、シングルカムでありながら気筒毎4バルブを誇っていた。

GA2に搭載されたD13C型では1.2Lだった排気量が1.3Lにスープアップされた他、PGM-FI(ホンダの電子制御燃料噴射技術)を装備し、その最高出力は100psに到達した。

現代の眼から見ると、シンプル過ぎるスタイリングもあって、当時のシティ人気の高さを伺い知ることは難しい。

だが2代目シティがマイナーチェンジした1988年と言えば、ホンダのF1エンジンが16戦15勝を挙げた年であり、若者はシビックやシティの小気味よい走りにF1マシンのフィーリングを重ね合わせていたのである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。

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