ロータス・エキシージSロードスター

公開 : 2014.11.01 14:17  更新 : 2017.05.29 19:24

3代目エキシージSに追加設定されたロードスターが日本の道を走りはじめた。足まわりを専用仕立てにしたというが、そのフィーリングはいかなるものなのか。

年寄りは昔のことをすぐ想い出して追想に耽る。アルミ応力担体を採用したエリーゼは、ヒーターも無しの裸同然の仕様で車重675kgとぶち上げて登場した。それが屋根を被せたエキシージの第1世代で900kgに近づいて、第2世代でエンジンをローバー18K型からトヨタ2ZZ型に換装して900kg中盤に、軸距を少し延ばして加飾を盛ったヨーロッパでは1tに近づき、トヨタV6を背負って2+2座としたエヴォーラでは何と1.4tになってしまった。ではV6搭載となった第3世代のエキシージSはどうなったかというと1180kg。そして今回の試乗車であるSロードスターでは屋根のぶんなのか僅かに減って1170kgだ。

軸距はどうなのか。直4を積むエリーゼと第1第2世代は2300mmで、同じく直4のヨーロッパは2330mm。かたやV6では2+2座のエヴォーラが2575mmで、2座の第2世代エキシージSは2370mmとなる。

ちなみに、このV6パワートレインはトヨタの乗用車用だから背が高く搭載位置も高い。直4時代に比べて30mm増の軸距はV6だとエンジン幅(横置きだから搭載状態では前後長)が大きいせいだろう。つまり有り体に言ってしまえばリヤヘビー高重心化したわけで、車検証を見ると前後軸重が410:760kg(35:65)でギョッとするが、そんなことは作り手も承知の上だろう。分かった上で車格を上げるために馬力が欲しかったのだ。トヨタ2GR型はハロップ製スーチャーを載せられて最高出力350psの最大トルク40.8kgm。この基本を、手練れのロータス実験部隊がどう仕上げたのが興味の焦点である。

相変わらずペダルが左に偏向している——左ハンも注文できるから間違いなくそっちを買ったほうがいい——運転席に座る。シートは上々。肩裏のサポートが按配よく効く。ただし肢に合わせるとステアリングが遠くて古式ゆかしいストレートアームになる。バックレスト一体型だから肢のほうを妥協するしかない。長身長肢の同業者でも同じだったらしい。

台風が連れてきた雨が小やみになったところで、出撃するとステアフィールの自然さに気がついた。ラックの歯の研磨はさして上等とは言えないが、アシストという夾雑物がないので伝わる情報に嘘がない。ただしアシスト物と違ってステア軸にトーションバーは入らないからキックバックは角が立つ。不整に遭って暴れようとするステアリングを、意思を以て抑え込む昔ながらの作業が必要だ。

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