BMW次世代FCEV、水素技術にとって最後のチャンス? 2028年に燃料電池システム量産開始
公開 : 2025.12.16 07:05
BMWは第3世代となる燃料電池システムをトヨタと共同開発し、2028年に量産開始予定です。従来よりもエネルギー密度や効率性を高めているとのこと。水素技術の普及に向けた「ラストチャンス」かもしれません。
トヨタと共同開発 第3世代は小型化と高性能化を実現
2028年に実用化を予定しているBMWの第3世代燃料電池システムは「自動車史上におけるマイルストーン」であり、「世界的な高級車メーカーが提供する初の量産型燃料電池電気自動車(FCEV)」になると言われている。
高級車メーカーとしては世界初かもしれないが、FCEVのメーカーとしてはBMWの提携先でもあるトヨタを忘れてはいけない。トヨタは1992年からFCEVの開発に着手し、2014年にミライを発売している。

他にもホンダ・クラリティやヒョンデ・ネッソなどがあり、試験用のプロトタイプも複数存在する。例えば、メルセデス・ベンツAクラスをベースとするNecar 4は、1999年に世界初の公道走行可能な燃料電池車として登場し、完成度が高く走行性能も優れていた。しかし、四半世紀経った今も、我々は “魔法” の水素が現実になるのを待ち続けている。
その突破口を開くのは、BMWの新型車かもしれない。クルマの動力源としての水素には否定的な意見も多い一方で、BMWやトヨタといった大手企業は継続的に投資を行っている。燃料電池車が普及するには水素補給インフラが必要だが、欧州ではその整備が進みつつある。
BMWによれば、欧州連合(EU)の代替燃料インフラ規制により、2030年までに高圧700barの新世代充填ステーションのネットワークが構築され、トラック、バス、乗用車の需要に対応できるようになるという。
FCEVは、大まかには従来のハイブリッド車のように捉えることができる。ただし、内燃機関の代わりに燃料電池システムを搭載している点で異なる。水素充填にかかる時間は内燃機関車の給油と同等だ。
水素燃料電池システムの核心は燃料電池スタックだ。EVのバッテリーパックがリチウムイオンセルで構成されるのと同様に、燃料電池スタックは数百個の小さな燃料電池セルで構成されている。2014年のBMW『535iA』に搭載された第1世代燃料電池システムはトヨタ製だったが、今回の最新燃料電池システムはトヨタと共同開発したものだ。
既存のテスト車両『iX5ハイドロジェン』に搭載されている第2世代システムは、トヨタ製のセルを使用してBMWが開発したものである。新システムでは電力密度が従来比で大幅に向上し、25%の小型化を実現。車両プラットフォームにシームレスに統合でき、エネルギー消費効率においても従来版を上回る。
現在、第3世代のプロトタイプはドイツ・ミュンヘンのBMW水素技術センターで製作中であり、2028年にはオーストリア・シュタイアーのBMWグループ工場で量産開始予定だ。
画像 次期BMW X5にFCEV導入! 水素で走る高級SUV【新型iX5ハイドロジェンのプロトタイプを詳しく見る】 全18枚




















