6年「放置」のフォルクスワーゲン・ビートル 60psの1302 Sを復活 記憶と違う絶好調

公開 : 2024.02.21 19:05

ビートルにとっては幸せな決断

自宅へ戻り、燃費を計算すると平均で9.6km/L。トヨタプリウスの半分にも及ばないが、大きなSUVよりずっと経済的だ。

それ以来、筆者はスーパービートルを普段の移動手段として乗り始めた。翌日は、ロンドンの外周を巡る環状道路、M25号線を見事に1周。週末には、買い物の足にもなった。

フォルクスワーゲン・スーパービートル 1302Sと筆者、フェリックス・ペイジ
フォルクスワーゲン・スーパービートル 1302Sと筆者、フェリックス・ペイジ

52年前のクルマだから、ロンドン中心部で適用される、ウルトラ・ローエミッション・ゾーンの通行料も取られない。このルール決めには、疑問が残るとはいえ。歩行者から、笑顔で見られる機会も多い。保険料は、ネットフリックスの料金並みに安かった。

オリジナルのビートルは、チャーミングな市民のクルマとして、再び活躍できると思った。特有の癖も、新鮮に感じられた。

ただし、これは過去の記憶。とある男性が、素晴らしい金額での買い取りを申し出てくれたのだ。これまでの思い出を彼に伝え、思い切って手放すことにした。大きなノイズを響かせガソリン臭い、古い工業製品だと、自分にいい聞かせて。

大好きだったが、ビートルにとっては幸せな決断だったと思う。今の筆者には、同時に複数台を維持する余裕がない。素晴らしい仲間との別れに、深く心が沈んだことは間違いないが、ベターな方向へ進んだと信じたい。

筆者のパートナーは、得られた利益で新しいトースターが買えると喜んでいる。早く温まるものを選ぼうと思う。

フォルクスワーゲン・スーパービートル 1302S(1972年式/英国仕様)のスペック

英国価格:985ポンド(1972年時)
最高速度:141km/h
0-100km/h加速:18.4秒
燃費:8.1km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:825kg
パワートレイン:水平対向4気筒1584cc 自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:60ps
最大トルク:10.6kg-m
ギアボックス:4速マニュアル(後輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

フォルクスワーゲン ビートルの人気画像