電動ならもっと贅沢? 更新版メルセデス・ベンツEQVへ試乗 モデルチェンジは2026年に

公開 : 2024.03.29 19:05

マイナーチェンジを受けたメルセデス・ベンツEQV このクラスで最もラグジュアリー 電動パワートレインは高級な移動手段に適っている 英国編集部が評価

このクラスで最もラグジュアリー

マイナーチェンジを受けたメルセデス・ベンツEQVは、内燃エンジンで走るVクラスのバッテリーEV版。ボディサイズに余裕があるため、サルーンやSUVと比較して、パッケージングは理想へ近づけられる。

車内空間を犠牲にすることなく、80.0kWhの駆動用バッテリーが載っている。欧州では市街地から空港までなど、ある程度決まったルートを走る使われ方が多いため、航続距離や急速充電能力に対する風当たりは小さい。

メルセデス・ベンツEQV(欧州仕様)
メルセデス・ベンツEQV(欧州仕様)

メルセデス・ベンツが、このクラスで最もラグジュアリーな電動モデルだと主張するだけあって、車内は豪華。6名の大人と荷物を運びたい場合でも、Sクラス級のシートで2名のVIPに最適化したい場合でも、不満ないインテリアが設えられる。

その代わり、予想される英国価格は約9万ポンド(約1701万円)から。オプションの追加前で。

フロントドアを開くと、ダッシュボードの基本的な造形や、運転席と助手席との距離を気にしなければ、メルセデス・ベンツのサルーンのよう。同社最新のMBUXインフォテインメント・システムが稼働する、大きなタッチモニターが目を引く。

その下には、タッチパッド・コントローラーが配されたセンターコンソールが突き出ている。サイドドアは電動で開閉するが、そのスイッチも並ぶ。ステアリングホイール上には、余り正確には反応しない、パネル状のコントローラーが備わる。

EVが高級な移動手段に適っていると実感

全体的に、タッチモニターと実際に押せるハードスイッチとのバランスは悪くない。バッテリーEVであることを示すように、個性的なブルーの化粧トリムでダッシュボードを飾ることもできる。

プロの送迎ドライバーは、少し豪華すぎる前席だと感じるかもしれない。プライベートで乗る人は、ワンボックスカーで、これ以上に華やかな車内はないと喜ぶだろう。

メルセデス・ベンツEQV(欧州仕様)
メルセデス・ベンツEQV(欧州仕様)

ドライビングポジションは、少し起き気味。当然ながら視線は高めで、サルーン・ライクではない。

2列目と3列目、荷室の空間も広々。最後端まで上質な内装で整えられ、どの席でもプレミアムな雰囲気は変わらない。試乗車と違って、明るめの色のレザーシートを選べば、特別感は一層増すと思う。

電動パワートレインの印象は、ディーゼルエンジンで走るVクラスより上質。走行時は非常に静かで、電動パワートレインが高級な移動手段に適していることを実感させる。

車重は3t近くあるため、バッテリーEVに期待するような、スタートダッシュの勢いはない。それでも、極めて滑らかに進み出す。ステアリングフィールは乗用車的。適度に重くクイックで、EQVの扱いやすい特性を高めている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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