「500+100」の理由を満たす余裕! フィアット600eへ試乗 カワイイだけじゃない優等生

公開 : 2024.03.22 19:05

500eの影響を隠さない、丸みを帯びた見た目

丸みを帯びたスタイリングは、500eの影響を隠さず、従来の500 Xより均整が取れていると思う。600のロゴが要所を引き締め、イタリアン・トリコロールがリアバンパーに彩りを添える。

ヘッドライトの上には、眠そうなまぶたにも見える、アイラインのようなトリム。女性的な雰囲気を漂わせる。車内の広さを意識しただけあって、プロポーションは縦に高い。それでも、オフローダーのような無骨さはない。

フィアット600e ラ・プリマ(英国仕様)
フィアット600e ラ・プリマ(英国仕様)

ボディサイズは、アベンジャーと同様にハッとするほど小さく、全長は4171mm。狭い駐車場でも、少ない緊張感で止めることができるはず。

選べるボディカラーは、いずれも鮮やか。グレーの設定はなく、レッド、オレンジ、スカイブルー、シーブルー、サンドベージュというラインナップだ。

装備は充実。エネルギー効率に優れるヒートポンプ式エアコンに、10インチのインフォテインメント・システム、シートヒーター、バックカメラ、ワイヤレス・スマートフォン充電パッドなどが備わる。

全方向に優れた電動ファミリー・クロスオーバー

現在のフィアットは、英国ではバッテリーEVに対して一律3000ポンド(約57万円)の割引キャンペーンを実施中。エントリーグレードの600eは、実質2万9995ポンド(約567万円)ということになる。

ステランティス・グループの中だけでなく、同等クラスのクロスオーバー全体で見ても、英国では訴求力の高いプライスタグといえる。この価格帯では、600eより安価に買えるバッテリーEVは6車種しかなく、その多くはさらにボディサイズが小さい。

フィアット600e ラ・プリマ(英国仕様)
フィアット600e ラ・プリマ(英国仕様)

今回試乗した、トップグレードのラ・プリマの場合、3万3995ポンド(約625万円)。新しいボルボEX30とほぼ同じで、ルノーメガーヌ Eテック・エレクトリックより明確に安い。

フィアットの期待がかかる600e。可愛らしいスタイリングだけではない、コストパフォーマンスに長けた、全方向に優れた電動ファミリー・クロスオーバーだといっていい。トップクラスの魅力を放っていると思う。

◯:個性的なスタイリング 一律3000ポンド(約57万円)の割引キャンペーン 充実した標準装備
△:際立つようなセールスポイントがない 運転する魅力はもう少し欲しい 実用性で勝るライバルもある

フィアット600e ラ・プリマ(英国仕様)のスペック

英国価格:3万3995ポンド(約625万円)
全長:4171mm
全幅:1781mm
全高:1523mm
最高速度:149km/h
0-100km/h加速:9.0秒
航続距離:405km
電費:6.4km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1520kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
バッテリー:51kWh(実容量)
急速充電能力:100kW(DC)
最高出力:153ps
最大トルク:26.3kg-m
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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