EV充電が「5分以内」に? フィアット500から導入 バッテリー交換システム、2024年より

公開 : 2023.12.11 06:05

・ステランティスが2024年からEVバッテリーの交換システムを導入。
・満充電のバッテリーと「5分以内」に交換でき、充電時間短縮へ。
・当初フィアット500のみで欧州から。車体構造に大幅な変更はなし。

車体構造に大幅な変更なし

欧米系の自動車メーカーであるステランティスは12月7日、EVのバッテリーを交換して充電時間を短縮するシステムを2024年から導入すると発表した。満充電のバッテリーを「5分以内」に装着できる交換ステーションのネットワークを立ち上げる。

ステランティスは、米サンフランシスコを拠点とするアンプル(Ample)社が開発したバッテリー交換技術を採用し、来年スペインのマドリードで定額制で導入する予定だ。その後、市場を拡大する予定だが、詳細についてはまだ明かされていない。

当初はフィアット500のみでスペインから導入を開始する。
当初はフィアット500のみでスペインから導入を開始する。    ステランティス

当初はEVのフィアット500のみが対象だが、シトロエンプジョージープマセラティなど、ステランティス傘下の全メーカーに対応するよう順次拡張していく。同社によると、満充電のバッテリーを「ガソリン給油と同じくらい迅速かつ便利」に入手できるように考案されたという。

交換ステーションでは、対象車両を自動的に認識し、アプリ経由で交換作業を開始する。従来の充電ステーションでは数十分から数時間かかる充電を、わずか5分で終えられることになる。

同様のシステムは中国のニオ(NIO)が先んじて実用化しており、本国で1300以上の交換ステーションを展開するほか、さらに欧州の数か国に13か所設置している。英国などにも導入予定だ。

ステランティスの交換可能モジュール式バッテリーは、あらゆるEVで使用されている既存のバッテリーと「ドロップイン交換」できるように設計されている。これにより、車両構造を設計し直すことなく比較的容易に導入できる。

同社のリカルド・スタマッティ上級副社長は「アンプル社のモジュラー・バッテリー・スワッピング技術により、エネルギー効率の向上、卓越した性能、航続距離不安の低減をお客様に提案できるようになります。フィアット500eで初期プログラムを実施することを楽しみにしています」と語った。

発表によると、交換ステーションは「最短3日」で建設し、稼働させることができるという。

アンプル社のカレド・ハスウナCEOは、「5分以内に満充電できる魅力的なEVを提供することで、EVの普及に残る障害を取り除くことができます」と述べている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    英国編集部。英グラスゴー大学を卒業後、モータージャーナリストを志しロンドンに移住。2022年からAUTOCARでニュース記事を担当する傍ら、SEO対策やSNSなど幅広い経験を積んでいる。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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