それにしても素晴らしいコーナリング・マナーだ。コンパクトなスポーツモデルが生み出す、いわゆる人馬一体感とは、このようなものだったのか。ステアリングを切り込めば、ノーズはナチュラルな感覚を維持したまま、正確に狙った方向へと回り込み、ここから先は、まさにオン・ザ・レール感覚ともいえるスタビリティを味わうことができる。そしてこの理想的なコーナリング時の動きは、クワトロ・システムによって、さらなる高みへと導かれているのである。

■「買い」か?

S1のボディは、日本の都市部でもまったく負担にならないサイズ。3ペダルであることをハンデと考えないのならば、高い実用性とスポーツ性という二面性を持つこのモデルは、非常に魅力的な存在といえるだろう。ただしクワトロ・システムの搭載に伴って、ラゲッジスペースはA1のそれよりも若干小さなサイズとなることは覚えておかなければならない。日本仕様のプライスは、3ドアのS1が410万円、5ドアのS1スポーツバックは430万円という設定。走りの楽しさと、そもそものアウディ製コンパクトハッチの高級感を考えれば、これは十分に魅力的な価格といえそうだ。

(文・山崎元裕　写真・花村英典)

アウディS1

価格	4,100,000〜4,300,000円
最高速度	250km/h
0-100km/h加速	5.8秒
燃費	14.3km/ℓ
CO2排出量	162g/km
乾燥重量	1360kg
エンジン	直列4気筒1984ccターボ
最高出力	231ps/6000rpm
最大トルク	37.8kg-m/1600-3000rpm
ギアボックス	6マニュアル速