【YouTubeから始まった夢!】  税込み100万円の小型モビリティロボット 「ミボット」登場

公開 : 2024.08.13 11:45  更新 : 2024.08.15 19:26

YouTube「くっすんガレージ」からスタートした広島市の企業「KGモーターズ」が小型モビリティロボット「mibot(ミボット)」を発表しました。社会問題を解決する一助となるのでしょうか? 取材しました。

目指すのは「小型モビリティロボットで持続可能な移動を実現」

8月8日、広島市に本拠を置き、「次のテスラを目指す」というKGモーターズが東京都世田谷区の二子玉川蔦屋家電において、小型モビリティロボット「mibot(ミボット)」を発表した。

代表取締役CEOの楠一成氏は、「小型モビリティロボットで持続可能な移動を実現する」をコンセプトに、「誰もが、安全に、快適に、手ごろな価格で自由に移動できる世界」を目指すという。小型モビリティロボットというと「?」と思われる人もおられるかもしれないが、簡単に言ってしまえば電動の原付ミニカー(四輪車)だ。

KGモーターズが開発中の小型モビリティロボット「ミボット」
KGモーターズが開発中の小型モビリティロボット「ミボット」

現在の日本においては、クルマで移動するときの使用距離は、約7割が10km未満だという。そして、移動するときの乗車人員は、約7割が1人乗車で、さらに、クルマを利用している人の約5割は、高速道路を利用しないか、ほとんど利用しない人だという。

つまり、軽自動車までも必要としない、無駄なコストと環境負荷が高い状態が慢性化しているというわけだ。

しかも、地方都市では人口の減少から公共交通が衰退している。それゆえ、軽自動車までは要らないから原付バイクで、という人も増えてはいるが、雨の日や荷物を運んだりというのには向かない。結果的に、クルマなしでは移動ができなくなっており、つまりはクルマ社会が加速してしまっている。

そこでKGモーターズが提案するのが、小型モビリティロボットの「mibot(ミボット)」だ。その名前は「ミニマムなモビリティロボット」を意味するという。

では、ミボットについて、もう少し詳しくスペックを紹介していこう。

前後対称のユニークなスタイリングの秘密は……?

ミボットは、前述のように原付ミニカー(四輪車)の規格となる。したがって、運転には普通免許が必要になるが、ヘルメットは不要だ。サイズは、全長2490×全幅1130×全高1455mmという、きわめてコンパクトなサイズだ。車両重量は430kg。

1人乗りのコンパクトなサイズで、車庫証明も不要だから、これまで有効活用できなかった狭いスペースにも駐車できる。少し広めの普通車用駐車スペースなら、横向きで駐車できるほどだ。

原付ミニカー(四輪車)の規格となるので、運転には普通免許が必要
原付ミニカー(四輪車)の規格となるので、運転には普通免許が必要

パワートレインは電気モーターで後輪を駆動する。充電時間はAC100Vで5時間。航続距離は100km。最高速度は60km/h。そして車両価格は、消費税込みで100万円だ。維持コストは原付バイクと同等だという。

短距離利用に特化しているから、バッテリーを小型化し、車両重量も軽くなり、エネルギー効率の向上を実現している。

しかも、不必要な装備は排してコスト削減を目指しているが、快適に移動するための必要十分な機能は備えている。エアコン、シートヒーター、ディスプレイモニターは標準装備。リアのラゲッジスペースは45kg積載可能。この積載量は、18Lの灯油缶を2個積むことができる。

さらに、ドアは左右に2枚ある。1人乗りなのにどうして? と思われるだろうが、ここにデザインのポイントがある。

このミボット、写真を見ていただけると分かるのだが、ほとんど前後対称な形状をしている。それは金型代(金型数)をおさえてコストを削減しているからなのだが、したがって右前と左後のフェンダーが共通(その逆も)だったり、前後のパネルも共通。ドアを左右に取り付けたのも、左右のパネルを共通化するため。

今回の展示車は市販前のプロトタイプゆえ、ボディパネルは3次元プリンターで製作し、灯火類やドアノブなどのパーツは中国製EVから流用しているが、市販車ではポリプロピレン製のパネルを採用し、灯火類もオリジナルで製作する予定だ。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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