BMW Z4 詳細データテスト 希少なMTで味わえる柔軟なエンジン 直感的でない可変ステアリング

公開 : 2024.08.31 20:25

快適性/静粛性 ★★★★★★★★☆☆

このZ4は、期待したシャープなスポーツカーではなかったが、それほど悪いことだろうか。本気で走る気分ではないときに、まるで普通の3シリーズのような走りをみごとにこなしてくれるなら、それもいい。短いホイールベースに低扁平タイヤの組み合わせにミラクルを期待するべきではないが、Z4の乗り心地は上々。平坦でない舗装や、大きめのバンプに遭ったときでもだ。

シートはすばらしい。パッドは十分にあり、快適に感じられるが、フカフカすぎるほどではない。予測する調整機構はすべて揃っており、サイドサポートのきつさも変更できるので、どんな体格でも横サポートには満足できる。

オープンスポーツとしては、かなり乗り心地がいい。静粛性も低くはないが、路面によってはロードノイズが気になる。
オープンスポーツとしては、かなり乗り心地がいい。静粛性も低くはないが、路面によってはロードノイズが気になる。    JACK HARRISON

残念な点があるとすれば、わずかではあるが、高速道路の速度域で、路面によってはロードノイズがそこそこあることだ。計測結果は113km/hで70dBAで、ポルシェ718ボクスターよりは3dBA小さく、アウディTTクーペに比べても1dBA大きいのみだ。しかし主観的には、整備が行き届いていない舗装だと、数字以上にノイズがかなり気になる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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