ポルシェ・カイエン・ターボ

公開 : 2015.01.25 23:50　　更新 : 2017.05.29 19:04

カイエン・ターボの購入をお考えならば、ハンドリングを重視する向きも多いはずなので、そちらも見ていこう。もちろん体躯を考慮すれば、ステアリングからのインパルス入力に対して上屋が遅れてついてくるような感覚を覚えることもあるけれど、ステアリングの正確性や重み、一貫性は第一級のレベルにあり、ブレーキ/スロットル・レスポンスも直感的だ。おかげでコーナー手前で前輪に荷重を載せることに苦労することもまったくない。

オーバーステアを簡単に落ち着けられるのは、オン-デマンド方式の4WDシステムの優れた仕事ゆえ。鼻先がスッとコーナーに吸い込まれていくような感覚をもたらすあたりは、SUVというよりもスポーツカーのそれである(ありきたりな表現ではあるが、実際にそうなのだ)。

キャビンは相変わらず豪奢な雰囲気をこれでもかというほど放っており、なかでもナビゲーション・システムやボーズ製サウンド・システム、ヒーター付き電動スポーツ・シート、918スパイダーからインスパイアされたマルチファンクション・ステアリング・ホイールなどがその役回りを担っている。もちろん実用性もたかいのだから、本当に ’良いところ取り’ なクルマなのである。

■「買い」か?

速さ、エグゾースト・ノート、実用性、楽しさの観点でみれば、日本にはないがV8のカイエン・ディーゼルSやアウディRS6が候補車として挙がってくるのは無理もない。カイエン・ターボよりも安価とくればなおさらだ。

ただし、空気を真正面から叩き切るような加速をする、ガソリン・エンジンを載せたSUVをお探しならばカイエン・ターボ一択である。これさえ買ってしまえば、求めていることを、求めている以上に差し出してくれるはずだ。

ただし銀行からお金を引き出す前に、これから登場するレンジ・ローバーSVRやカイエンGTSを試乗してみることをおすすめする。もしかすると、新たなアイデアが浮かびあがるかもしれない。

(ヴィッキー・パロット)