新型 BMW 1シリーズ・マイルドHVへ試乗 3代目を大改良で走り好印象 一層の変化を求めたい?

公開 : 2025.01.16 19:05

ワイドなモニターパネル獲得 自然な運転姿勢

インテリアは、基本構造は3代目のキャリーオーバー。座面は自然な高さで、シートやステアリングコラムの調整域は広く、自然な運転姿勢を取れる。ランバーサポートの調整はできないが。

前後とも、膝前の空間はフォルクスワーゲン・ゴルフ eハイブリッドより余裕があるが、高さ方向は若干劣る。ISG用のバッテリーが積まれるため、荷室は削られ容量は300L。同クラスでは平均以下だ。

BMW 120 Mスポーツ(英国仕様)
BMW 120 Mスポーツ(英国仕様)

Mスポーツの場合、レザー巻きスポーツステアリングホイールに、ヒーター内蔵スポーツシートを獲得。ステッチが各部に施され、アルカンターラ/ベガンザ内装も得る。

ダッシュボード上には、10.3インチのインフォテインメント用と、10.7インチのメーター用が連なった、ワイドなモニターパネルが載る。エアコン用のハードスイッチだけでなく、iドライブ用のコントローラーも省かれた。

アンビエントライトは、ドライブモードで色が変化する。視覚的な豪華さは上昇している。だが、運転空間として本当に進歩したとは表現しにくいだろう。

インフォテインメント・システムは、画面の右端にショートカットが表示され、操作性を高めている。ワンタッチでナビ画面へ戻れるのもうれしい。エアコンの温度調整は常時表示され、特定の機能を割り当てることもできる。

インターネット接続され、ソフトの自動更新や、BMWのサブスクリプション・サービスで音楽やニュース、ビデオなどを楽しむことが可能。アップル・カープレイとアンドロイド・オートにも、もちろん対応する。

走りは好印象 落ち着きに欠ける乗り心地

試乗日は雨がちだったが、BMWらしく走りは好印象。7速デュアルクラッチATはダイレクトにギアを選ぶ印象があり、滑りやすい路面でも鋭い加速を得やすい。マイルド・ハイブリッドの3気筒エンジンは静かで滑らかに回り、上質といえる。

強い印象を残すほどではないが、運転好きの気持へ充分応えてくれる。0-100km/h加速は7.8秒。スポーツ・モード時は、耳障りではない人工音がキャビンへ響く。

BMW 120 Mスポーツ(英国仕様)
BMW 120 Mスポーツ(英国仕様)

ちなみに、M135 xドライブの0-100km/h加速は4.9秒。2000rpmから40.7kg-mの最大トルクを得られ、相当に速い。アクセルペダルを踏み込むと、トルクを最大限に活用するべく、変速を抑える制御も入る。パドルで任意にギアを選ぶことも可能だ。

高負荷時の2.0L 4気筒の音響は、やや人工的。穏やかに走っている限り、マナーの良いサウンドを控えめに響かせるが。

Mスポーツは、引き締められたサスペンションが組まれるだけあって、乗り心地は若干落ち着かない。高速道路でも郊外の一般道でも。

アダプティブダンパーが組まれるものの、ストロークは短めで、強い入力時のボディコントロールも気になった。車重を受け止めきれずバンプストッパーに当たるような、振動が伝わることがある。もう少し、ダンパーの反応速度を高めても良さそうだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事