編集者としての原点、ランチアランチの話(後編)【新米編集長コラム#16】
公開 : 2025.01.24 11:45
フラミニア・ザガートはめちゃくちゃいいクルマ
もうおひとりご紹介したいのが、1963年の『フラミニア・ザガート』に乗る森至布(よしのぶ)さんだ。写真はなんと自作されたというテーブルで、その左奥に写っているのが森さんのフラミニアである。
このクルマの美しさに関しては、今さら語るべきではないだろう。美しいフォルムではあるが、ダブルバブルのルーフに代表されるザガートらしいアイコンもあり、個人的にも憧れのランチアである。ちなみに森さんはピニンファリーナ・ボディである1954年のランチア・アウレリアGTもお持ちで、ザガートとピニンファリーナ両方がガレージに並ぶという、非常に羨ましい日常を送っていらっしゃる。

森さんは京都で亀岡トライアルランドを1972年に創業され、現在は息子さんに譲られたが、ガレージキットの販売でご存知の方も多いだろう。若い時にバイク選手として活躍し、社名のトライアルはバイクのカテゴリーに由来する。当初はトライアル系のヘルメットやブーツなどの輸入を行っていたが、それだけでは……と始めたのがガレージキット販売であった。
輸入のノウハウもある森さんはアウレリアを1993年にイタリアから直接購入したそうで、レストアもメンテナンスも全て自分で行えるため、ランチアはメカが面白いと語っている。例えばV6エンジンのクランクシャフトが、アストン マーティンやジャガーの半分くらいしかないことなどだ。
フロントのエンジン搭載位置が比較的後方で、重量配分もよく、エンジン自体はトルクがあってスムーズな走りを見せるそう。それほどスポーティではないが、乗りやすくて安心感もある。「フラミニアはめちゃくちゃいいクルマですよ!」とにこやかに語ってくれた。
なお取材日は、ランチアとザガート合わせて80台ほどが集結していた。一部押さえきれなかったクルマもあるが、会場全車を撮影してきたので、ギャラリーもご覧頂きたい。