編集者としての原点、ランチアランチの話(前編)【新米編集長コラム#15】

公開 : 2025.01.20 12:05

AUTOCAR JAPAN編集長ヒライによる、新米編集長コラムです。編集部のこと、その時思ったことなどを、わりとストレートに語ります。第15回は、編集者ヒライの原点とも言えるイベント取材がテーマです。

1999年富士高原サーキットにて

イベント取材は、編集者ヒライの原点だ。1999年に初めて所属した編集部であるカー・マガジンで最初に訪れた取材は、富士高原サーキット(!)で秋に開催された『ビバ・イタリア』だった。当時某先輩にカメラマンとふたりで行ってくるように命ぜられ、取材のイロハもわからない中、初めて見る貴重なイタリア車たちに感激したのをよく覚えている。

以後、イベントやミーティング取材はイタリア車に限らず、積極的に訪れてきた。多くのクルマを見られることはもちろんのこと、そこで重ねる人々と出会いが、編集者として大きな財産になってきたからだ。何気ないひとことから企画や取材に発展したことは数知れない。特にカー・マガジンのような趣味のクルマを扱う媒体としては、そうしたネットワークが命綱だと思ってきた。

ランチア・クラブ・ジャパンが毎年開催している『ランチアランチ』。
ランチアクラブ・ジャパンが毎年開催している『ランチアランチ』。    平井大介

だからコロナ禍でそうした出会いが途切れた時は、編集者として強い危機感を覚えた。この場合イベントにはモータショーも含まれていて、ジュネーブ、パリ、フランクフルト、デトロイト、エッセン、ボローニャといった海外ショーの取材経験もまた大きな財産となっている。しかしコロナ禍をきっかけにモータショーの在り方自体が変わったことで(ジュネーブはついに消滅してしまった)、取材の在り方も変わってしまったのである。だからコロナ禍から明けたことは、心よりよかったと思っている。

そういった中で『ランチアランチ』は大事なイベントだ。私がランチア・イプシロン・モモデザインを所有するランチスタ(ランチア・オーナー)であることも大きい……というよりも、そもそもランチアへの憧れを強くするきっかけになったイベントなのである。

2024年中伊豆ワイナリーヒルズにて

ランチアランチを主催するのはオーナーズクラブの『ランチア・クラブ・ジャパン』で、平たく書けば年に1回開催されるクラブミーティングだ。これと同クラブが主催するデルタのワンメイクレース『デルタ・カップ』は、何度通ったかわからない。私はかつてデルタ・インテグラーレ16Vを所有していて、デルタ・カップにその16Vをお借りして取材参戦したところ、あまりに素晴らしくてそのまま購入したのが、ランチスタになったきっかけだ。

2024年のランチアランチは、10月26~27日に中伊豆ワイナリーヒルズで開催された。かなり旧聞となり恐縮ではあるが、その日の様子をレポートさせて頂きたい。

今回は『ランチアランチ2024ザガート・ミーツ・ランチア』として開催。
今回は『ランチアランチ2024ザガート・ミーツ・ランチア』として開催。
    平井大介

今回は『ランチアランチ2024ザガート・ミーツ・ランチア』として、『クラブ・ザガート・ジャポネ』との共催という形となった。

両クラブがコラボレーションしてミーティングを開催するのは11年ぶりとなる。そもそもランチアとザガートは例えばフルビア・ザガートなど、ダブルネームの名車が多く、両方のクラブに所属するメンバーがいるほど、もともと交流が深い。

初日は前夜祭で、取材に伺ったのは2日目となる。だいたいの流れを書いておくと、10時くらいまでに入場、受付を行い、まずは開会セレモニーを開催。しばしオーナー同士の交流を深めつつ、ランチを挟んで、『ランチアタクシー』と呼ばれる同乗走行がスタートした。

このタクシーはまさにランチアランチの名物で、各車のオーナーが他車のオーナーを乗せるというもの。助手席でもそのサウンドやフィーリングを体験することは実に貴重で、私も例えば主催者のご厚意でハイエナ・ザガートに乗せて頂いたことが今でも忘れられない体験となっている。

その後はコンコルソ・デレガンツァの表彰があり、閉会セレモニーを行い、集合写真撮影をして解散という流れだ。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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