環境に配慮しながらも高まるパーソナライズ需要に対応

ジャガー・ランドローバー（JLR）は、パーソナライズされたラグジュアリーモデルに対する需要の高まりに対応すると発表した。

特に上級モデルのレンジローバーおよびレンジローバー・スポーツでは数百種類ある特別注文カラーの需要が2022年度以降2倍以上に増加しており、さらに最上位グレードのレンジローバーSVにおいても、同様に今年度の需要は2倍に達したという。

今後、6500万ポンド（約122億5200万円）を投資し、最も二酸化炭素を排出する製造工程における排出量を低減させ、特殊塗装施設を持続的に拡大する。

年間1万7000件以上の追加注文に対応できる塗装施設を開設

英国最大のラグジュアリーカー・メーカーであるJLRは、英国とスロバニアに新たな塗装施設を開設する。

これにより特注カラーとプレミアムパレットの生産能力を倍増、年間1万7000件以上の追加注文に対応できるようになり、他のブランドでも最高級のペイントカラーが利用可能となる。

英キャッスルブロムウィッチにある新たなSVO（スペシャル・ビークル・オペレーションズ）施設では2600万ポンド（約50億円）を投資し、2025年中には最新鋭の効率的な塗装ブースに置き換えられる予定だ。

新しい技術を導入した塗装ブースにより、エネルギーと水の使用量は削減、手作業に比べ塗料の無駄を30%削減することにより環境への影響も軽減される。

これらの拡張により顧客はレンジローバーSVをプライベートジェットやヨットの色にマッチさせるなど、究極のパーソナライゼーションが実現されるという。

なお、レンジローバーSVの平均車両価格20万2000ポンド（約3807万円）に加えて、SVビスポークカラーは平均7万ポンド（約1320万円）のオプションとなる。

スロバキアの塗装ラインを電動化　2026年に出荷開始

一方、ディフェンダーとディスカバリーを製造しているスロバキアのニトラ工場には1000万ポンド（約19億円）を投じて、オール電動の塗装ブースとオーブンからなる、新しいユニバーサル塗装ラインの建設が今年開始される予定だ。

この新ラインにより年間約500トンのCO2e削減が見込まれる。それは施設の電力供給を低炭素で再生可能なエネルギー源に移行するための長期的目標への最初のステップとなるだろう。

スロバキアとJLRにとって初めてとなるこれら最先端の塗装ラインの導入は、無限のカラーバリエーションにより、車両のパーソナライゼーション需要に対応し、120名もの雇用を創出する。2026年には新しいラインから最初の車両が出荷される予定だ。

また、業務の最適化のためにスマート・オーブンコントロール・システムを導入。このシステムは非アクティブな状態を検知すると、自動的にシャットダウンする機能を持つ。

さらに塗装工場から排出される熱を回収、冷暖房に活用する新しい熱交換サイクルを導入することで、年間2250トンのCO2e（2200バレルの石油に相当）を削減する。また、年間で約75万ポンド（約1億4120万円）のコスト削減も実現するという。