クルマ漬けの毎日から

2026.01.16

12月初旬、英国を代表するカーデザイナーで、ジャガー・ランドローバー(JLR)のチーフ・クリエイティブ・オフィサーのジェリー・マクガバン氏がJLRを離任。12月下旬、そのマクガヴァン氏も大きく関わってきた新型GT(タイプ00の市販版プロトタイプ)に初試乗しました。

JLR最高デザイン責任者の離任とジャガーの新型GT試乗【クロプリー編集長コラム】

もくじ

ジェリー・マクガバン、21年でJLR去る
ジャガーの新型GT 市販版プロトタイプ

ジェリー・マクガバン、21年でJLR去る

「ジェリー・マクガバンとジャガー・ランドローバー(JLR)が袂を分かつ」という衝撃的なニュースを報道した翌日にこのコラムを書いているが、ネット上にナンセンスなコメントが多数投稿されているのを目にして、まったくやりきれない気分になっている。

とりわけ、勇敢で非常に才能のある人物への中傷が、残念ながらたくさん見られることに憤りを感じている。

ジェリー・マクガバン氏(左)とクロプリー編集長(右)。かつての取材の1場面。

つまるところ、マクガバンは才能豊かなデザイナーであり、また彼の特徴のひとつとして、担当領域を超えるほどのリーダーシップをとってきた。そうすることで彼は自身のチームを鼓舞し、また経営陣をも鼓舞し、いっそう素晴らしい仕事を生み出してきたのだ。

またランドローバーには、何十億ポンドもの多大な利益がもたらされてきた(今後もこの状況は続くだろう)。

ジャガーの新しい計画(タタから早期に承認を受けていたことを忘れてはならない)は、厳しい批判を受け、新経営陣の間に不安を与えた。そして不和も生じさせた。

しかし、だからといってジャガーの「タイプ00」が失敗作というわけではない。じつのところ、他のカーデザイナーたちも関連したスタイリングの解釈を使い始めていることからすると、大ヒットとなる可能性さえある。

BMWのクリス・バングルと、彼の物議をかもした「フレーム・サーフェシング」を思い出してほしい。「フレーム・サーフェシング」のデザインは、現在もあちこちで目にする。

マクガバンは私にとって、JLRをどのような形で去ろうとも、世界でもっとも偉大なカーデザイナーの1人であり続けるだろう。彼は勇気のある人でもある。マクガバンの物語はまだ終わっていないと信じたい。

ジャガーの新型GT 市販版プロトタイプ

正直にいうと、ジャガーがわれわれAUTOCARにEVの新型GTを体験させ、2025年をこのように素晴らしく、またドラマチックに終わらせてくれるとは、まったく予想していなかった。

詳細は別のレポートをお読みいただきたいが、新型GTの基準を覆すダイナミクス、とくにその乗り心地に私は深く感動した。この数か月、私たちはプロトタイプがテストされているのを見てきたが、そのプロトタイプが醜いカムフラージュに身を包んでいることが、今回私の驚きを大きくしたと思う。

あのカムフラージュの内側に、あれほど素晴らしいクルマが潜んでいようとは、とても信じられないことだった。

ジャガーの新型GTの開発責任者のマット・ベッカー氏(右)とクロプリー編集長(左)

他の自動車ジャーナリストたちもこの新型ジャガーに試乗するであろうが、これを書いている今も、彼らのインプレッションも肯定的であるかどうかが気になって仕方がない。

ジャガーのために(それにおそらく私自身の信頼性のためにも)、彼らのインプレッションが好意的なものであることを心から願いたい。ジャガーの人たちが、自分たちがしていることをよく理解していると知り、まずは安堵した。

3つのモデルレンジの価格、製造コスト、需要の見込みといった計算を、ジャガーが正しくはじきだせていることを強く願う。乗り越えなければならない難関は、まだ残っている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。
  • 翻訳

    小島薫

    Kaoru Kojima

    ドイツ自動車メーカーの日本法人に在籍し、オーナーズマニュアルの制作を担当。その後フリーランスで翻訳をはじめる。クルマはハッチバックを10台以上乗り継ぎ、現在はクーペを楽しんでいる。趣味はピアノ。

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