温故知新で作られる 次期 ジャガーGT(2) ブランドらしいバランス 本物を目指すプロトタイプの仕上りは?

公開 : 2026.02.05 18:10

2026年夏に迫る次期ジャガー 全長5.2mのロングノーズボディに低重心 3モーター総合1000ps以上 適度に重く精緻な操舵感 優れたシャシーバランス 本物の体験を掴めるか? UK編集部が試作車を現地で取材

遠くまで広がる四角いボンネット

まだ名もなき次期ジャガーのプロトタイプへ、スウェーデンの氷上コースで試乗が許された。ここでは、タイプ00と呼ばせていただこう。

試乗車は2台あり、片方は2024年に作られた動的特性のテスト用。もう1台は、2025年10月に作られた、量産仕様へ近い車両。これには最新のソフトウエアとハードウエアが実装され、すべてのシステムが稼働状態にあるという。

次期 ジャガー GT(タイプ00/プロトタイプ)
次期 ジャガー GT(タイプ00/プロトタイプ)

極寒に耐える厚い上着のまま、ドアを開く。ルーフラインはクーペのように低く、例えるならアストン マーティンラピードへ近い。リアドアの開口部は、狭く感じられた。普段の上着を羽織り、カモフラージュを外せば、乗降性や車内の印象は変わるはず。

運転姿勢は低く自然。ほぼ真円のステアリングホイールが、手元へ伸びる。正面には、四角いボンネットが遠くまで広がる。ボディサイズの感覚は、少し掴みにくそうだ。

適度に重く精緻な反応のステアリング

凍った湖の表面は滑らかに思えるが、除雪の重機が何度も走るうえ、日差しで表面が溶け、再び凍ることを繰り返し、実はガタガタ。洗濯板のように。

タイプ00は、その連続する氷の凹凸を見事に均す。こんな環境では、グリップや操縦性の把握は難しい。それでも、1時間と充分な時間はある。強いGを発生させることはできなくても、シャシーの特徴は確かめられる。

次期 ジャガー GT(タイプ00/プロトタイプ)
次期 ジャガー GT(タイプ00/プロトタイプ)

可変レシオのステアリングは適度に重く、反応は精緻。直進性は高いが、ロックトゥロックは2.4回転とクイック。6度まで切れる後輪操舵が備わり、最小回転直径は11.5mと、中型SUVと同じくらい小回りが利く。

ジャガーの技術者は、非常に自然な制御を実現させたようだ。後輪操舵が機能していることを、まったく感じさせない。これが、高速域での運転体験の鍵にもなるだろう。

優れたバランスとリカバリーの容易さ

リアモーターのトラクション/スタビリティ・コントロールも素晴らしい。前後のトルク分配は緻密で、氷上でもホイールスピンはほぼなし。オープンデフでは滑って動かないような、凍結した坂道でも平然と発進できる。トラクションは、かなり高そうだ。

サスペンションをコンフォート・モードへ。サイドボルスターで身体を支えるような旋回時には、小さめにボディロール。控えめで好ましい。旋回速度が高まった時、どう変化するのか興味深い。

次期 ジャガー GT(タイプ00/プロトタイプ)
次期 ジャガー GT(タイプ00/プロトタイプ)

乗り心地はしなやかで、シャシーの優れたバランスを探ることも可能だった。カーブで過剰なパワーを展開すれば、滑らかにテールがスライド。アングルは維持しやすい。

手に負えなくなる寸前まで、フロントタイヤの介入を抑えたいと開発チームは考えている。だが最終的には、安全性は担保されている。優れたバランスとリカバリーの容易さは、ジャガーらしいと表現できる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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