意外な掘り出し物も? 中古EV購入時に注意すべきこと 走行距離が多くても検討すべき理由
公開 : 2025.02.13 06:05
走行距離が多くても無視しない
バッテリーの健康状態と航続距離の大まかな目安として、もちろんクルマのダッシュボードに表示される航続可能距離の数値を参考にすることもできる。ただし、その数値はそれまでの運転方法によって影響を受けること、また、フル充電時の航続可能距離がやや楽観的に表示されるモデルもあることを念頭に置いてほしい(初期のステランティス製EVは特にこの傾向が強い)。
クルマの長期的な電費を考慮し、そこから航続可能距離を計算すると、より現実的な平均航続距離を割り出しやすい。また、実際の使用環境における航続距離に関する情報を求めるなら、オーナーズクラブが最適な場である。

バッテリーの健康状態が心配な場合は、急速充電をあまり頻繁に行っていない低走行のEVが最良の選択肢となるだろうが、走行距離の多い車両も除外すべきではない。なぜなら、走行距離の多いEVでも、バッテリーの健康状態や航続距離が驚くほど良好である可能性があるからだ。
実際、筆者は9年前に製造された走行距離42万kmのテスラ・モデルSを試乗したが、スーパーチャージャーで充電されていたにもかかわらず、バッテリーの容量は84%も残っていた。(AUTOCAR JAPAN、2024年12月15日掲載:【走行距離41万km超えの実力は? 「9年落ちの」テスラ・モデルS 90Dへ試乗 印象的な耐久性!】を参照)
だから、走行距離の少ないものや年式の新しいものにこだわる必要はない。自分のライフスタイルに合った、現実的な航続距離のクルマを探せばよいのだ。
エアコンやサスペンションも要チェック
英サリー州の専門ディーラーEV Expertsのマーティン・ミラー氏は、中古EVでは暖房システムもチェックすべきだと指摘する。
「エアコンと暖房システムは400Vなので、EVに新しいエアコンポンプを取り付けるには1000ポンド(約20万円)かかります。当店では最近、ジャガーIペイスのヒーターエレメントに2200ポンド(約40万円)支払いました。ここは非常にお金がかかる分野です」

サスペンションの摩耗も、特に走行距離の多い車両では注意すべき点である。
「EVもクルマですから、走行距離は重要です。エンジンとトランスミッションが距離に応じて摩耗するエンジン車とは異なりますが、それでもサスペンションとブレーキシステムの摩耗には注意が必要です」
サスペンションから聞こえてくるガタガタ音やきしみ音には注意して欲しい。特に、EVは同等のエンジン車よりも重量があるため、サスペンション部品が多少早く摩耗する可能性がある。
回生ブレーキシステムがあるため、EVのブレーキパッドはエンジン車よりもはるかに長持ちするが、パッドの残量は年式、走行距離、パワートレインに関わらず、中古車を購入する際には必ず点検すべきである。もちろん、タイヤも同様だ。
結論、中古のEVを探す人にとって、選択肢はこれまで以上に充実している。EVに詳しく、バッテリーの健康状態についてレポートを出してくれるような信頼できるディーラーから購入するようにしよう。
日常的に必要とする走行距離よりも、少なくとも10~15%長い実走行距離を持つEVを探そう。中古のEVは、必ずしも恐れる必要はない。































