【次世代電動化に向けた架け橋】ベースはシビック・タイプR!雪上で新型ホンダ・プレリュードを試す

公開 : 2025.02.13 00:00

旭川郊外にあるホンダの研究開発拠点で、今秋発売予定の新型『ホンダ・プレリュード』プロトタイプを試乗します。内外装は、ほぼ量産車の状態です。雪上で新型プレリュードはどんな走りを見せたのでしょうか?桃田健史がレポートします。

ベースの車体はシビック・タイプR

旭川郊外にあるホンダの研究開発拠点『鷹栖プルービンググランド』で、今秋発売予定の新型『ホンダ・プレリュード』プロトタイプを走らせた。プロトタイプといっても、内外装は、ほぼ量産車の状態だ。雪上で新型プレリュードはどんな走りを見せたのか?

現時点で、正確なボディ寸法は公表されていない。ホンダが公開している車両スペックに関する情報は、ベースの車体は『シビック・タイプR』であり、そこに現行シビックe:HEVのパワーユニットを載せているという点である。

今秋発売予定の新型ホンダ・プレリュードのプロトタイプに雪上で試乗。
今秋発売予定の新型ホンダ・プレリュードのプロトタイプに雪上で試乗。    本田技研工業

ドライ路面での走行については、昨年12月に栃木県内のホンダ関連施設で実施された『ホンダe:HEVビズ&テック・ワークショップ』で体験済みだ。その際の感想は、『タイプRの洗練されたスポーティ性と、シビックe:HEVの爽快感を上手くバランスさせた、人の五感を刺激する上質スポーツカー』というもの。

走行条件は、高速周回の直線路で時速120km、バンクのあるコーナーでは時速100km。さらに、フラットなスペースから強めのブレーキを踏んで左コーナーに入り、その先がS字コーナー、さらに左ヘアピンを短い坂を登ってから右へ大きく切り返すという、ワインディング路をイメージした短い設定のコースだった。

一方、今回のワインディングコースは、緑豊かな山間部を駆け抜けていく1周で2kmを超えるレイアウト。短い直線路での最高時速は80kmで、ヘアピンなどでは時速40kmくらいの速度域を保って走行した。あくまでも、日常生活における雪道のリアルな走行環境を再現したかったからだ。

スタッドレスの性能を加味して、クルマ本体を評価

タイヤはブリヂストンの『ブリザックVRX3』を装着していた。筆者は2シーズン前にブリヂストン主催で旭川郊外の大雪山国立公園周辺の公道で行われた、ブリザック VRXを国内外メーカーのAWD(オールホイールドライブ:全輪/四輪駆動)モデルに装着した報道陣向け試乗会に参加している。

その際に改めて、同じ仕様のタイヤを装着した状態での『クルマの性能差』を痛感したことを思い出す。その『差』とは、車体剛性の差、サスペンション設計の差、そして滑りやすい路面での安心かつ安全に走るための各種制御機能の差などを意味する。

タイヤはブリヂストンの『ブリザックVRX3』を装着していた。
タイヤはブリヂストンの『ブリザックVRX3』を装着していた。    本田技研工業

雪道走行では、ドライバーがそうした『差』を直感的に理解することができる。ドライ路面での走行に比べて、運転が慎重になるのは当然のこと。その上で、そうした慎重さがクルマの潜在的な走行性能を浮き彫りにしてくれるからだ。

見方を変えれば、スタッドレスタイヤそれぞれの性能差をしっかり理解していないと、ハンドリングや乗り心地など走りの印象が良くても、それはクルマの性能が良いからなのか、それともタイヤ性能の高さに由来するのかが分からなくなってしまう。それほど、雪道走行ではタイヤの存在が大きい。

筆者は、タイヤメーカー各社のスタッドレスタイヤに関する報道陣向け試乗会にも定期的に参加しているが、特に近年はトップクラスのメーカーでは全体的な性能の差は少なくなってきていると感じる。それでも、開発思想や活用している要素技術などの違いから、ブラックアイスバーンなど氷上性能などが特に優れたものなど、メーカーによって商品特徴があるのが実状だ。

こうして、筆者がブリザックVRX3の基本性能について、ブリヂストンのエンジニアとの意見交換を含めて十分に理解していることが、今回の新型プレリュード性能評価のベースにあることを示しておきたい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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